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2018年3月26日

トラクターの世界史(2017)

- 中公新書・藤原辰史著 ー

 

トラクターの開発、製造者間の競争、性能の進化、国家や地域に与えた影響を論じた学術的な本。

なんとマイナーな企画であろうか。あまりに専門的過ぎる。普通の人間はトラクターの歴史などに興味を抱くことはない。農家でさえ、おそらくは性能の良い耕運機には注意が向くと思うが、歴史まではそう考えるものではないだろう。農学者か、機械屋、リース業者だけが注目する分野の本。それが新書になって、しかも結構売れているということに驚く。

 

劇場主がこんな本を買ってしまったのは、あまりのオタクめいた内容に驚いたからなのだが、最近は「応仁の乱」などのように意表をつくほどのマイナー企画が、結構な評判になることもある。新書の場合は専門的な内容であることが、かえって魅力になることもあるようだ。見識を広めたいという、購読者たちの欲求のせいかも知れない。

 

とにかく、トラクターには意外なほどの影響力があったと知った。米国の砂漠化は、劇場主は移民たちが腕力で森林を破壊していったせいと思っていた。数世代にわたって無計画にただ木をなぎ倒し、広大な農園を作っていったから土壌の再生能力を奪ったのだろうと。綿花畑が作られた時代には、トラクターはなかったはずだ。だからトラクターだけの力で気候変動が起こったはずはない。そのスピードを速めたことは間違いないと思うが、それだけが土をおかしくしたわけじゃないと思う。

 

農産物の生産効率を上げたい場合、トラクターの導入は基本になる。やはり耕す作業はもっとも労力を要する。重たい土を持ち上げ、砕く、そのために人類の多くが体を酷使してきたはずで、それを機械に代替わりすることは夢であったろう。  

 

劇場主の育った農村は、大きなトラクターを見かけることはあまりなかった。狭い畑ばかりだったから、耕運機でも充分にはかどるくらいの畑がほとんどだった。耕運機は土地を固めるような害は感じにくい。耕運機が耕した後は、人間が作業したよりも土が攪拌され、いかにも農産物が成長しやすかろうな細かい土くれができていたはずだ。でも、大型の機械の場合は分からない。   

 

機械は安くなく、かなりの農家が機械のローンに苦しんでいたと聞く。ネットで見ると、20~30万で買えるようだが、故障の管理にも金が必要だろう。トラクターばかりじゃなく、シイタケやお茶の乾燥につかう施設はかなり金を要する。農協から手配してもらうのだろうが、農産物の価格は下落傾向だから、返済計画をうまく作れる人は少数派だったろうと思う。トラクターに代表される機械化が、農村を破壊してしまいつつある、そんな印象も持つ。農業をやっていなくて良かったと、正直思う。 

 

トラクターは今後、どのように進化するのだろうか?車が電動になる傾向だが、耕運機もそうなるのだろうか?菜園用の小さな機械は、もう電動が中心のようだ。電力が今より安くなり、自然エネルギーで充電し、パワー面の不安がなくなり、費用的にエンジンを上まわる効率が出たら、画期的な転換が起こるはずだ。自動運転に関しては、車より開発しやすいかも知れない。技術革新によって、耕運機に勝手に作業してもらい、運転手は家でテレビでも見ていられる時代が来るかも知れない。

機械オタクかプログラマーが優秀な農家と言われるようになる?

 

 

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