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2018年2月 9日

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016)

Manchester_by_the_sea

 

- Universal

 

事故が原因で故郷を離れた主人公。彼の兄が亡くなったことで、甥っ子の面倒をみることになる。傷ついた彼の心は変わるだろうか?という話。DVDで鑑賞。

 

主演はケイシー・アフレックで、ほとんどの時間帯は不機嫌そうな無感動の表情を貫き、酒場で酔っぱらっては乱闘騒ぎを巻き起こす困った人間を演じていた。明確に心情が変わって明日を明るく生きれる・・・そんな安易な展開になっていなかった点は作品のレベルを上げていたと思うが、かなり分かりにくい展開で、先が見えない暗さのようなものも感じた。あまり興行的に受けにくい作り方だったのではないだろうか?子供が単純に感動するのは難しい印象。

 

構成も凝っていた。頻繁に回想シーンが現れ、シーンはかなり複雑な順番で入れ替わる。兄が生きている場面だから回想シーンだろうという風に後では分かるのだが、最初のうちは頻繁にシーンが変わりすぎて、少し無駄な印象も受けた。もう少し単純化できたのではないだろうか?あるいは、酔っぱらって寝っ転がる主人公が夢の中で回想するといった約束事を作ったほうが分かりやすい。悪夢にうなされる主人公の心象が、より明快になると思う。

 

殴り合いのシーンがやたらリアルだった。特に2回目の酒場でのやりとりは動きが良くて、本当に殴っていたように見えた。おそらくプロの格闘家が相手をしていたんだろうが、本来アクション映画でない作品でも、殴り合いはリアルであったほうが良いことが再認識できた。嘘が見えてはいけないのだろう。

 

ケイシー・アフレックが良い役者なのか、劇場主にはよく分からない。この作品では演じすぎていなかったろうか?難しい役柄だったと思うが、過去を引きずる人間は発作的に無茶な行動に走りやすいと思うのだが、異様に明るかったり無駄な会話をしてしまったり、ただ暗いだけではない場合が多いように思う。ただ暗いのはリアルではないかも。

 

自暴自棄な人物はいろいろ見てきた。劇場主が関係するのは病気が原因で仕事を続けられなくなった人間が多いが、精神科にも通っている患者さんの場合はもっと根が深くて、抑うつの度合いが激しい人が多い。過去になんらかのトラブルを起こして、警察沙汰を何度も経験した人もいたが、病気を治す、克服するという方向に向かいにくい深い傷を感じた。

 

どうすれば回復に向かわせることができるか、さっぱり分からない場合が多い。この作品の主人公の場合は、甥っ子と何か心に通じるものはあった様子で、結局別れて暮らすことになったとしても、全く無関係に生きることにはならないようだった。その点は救われる。実際に今まで経験してきた方たちは、家族からも絶縁状態になった方が多かったから。

 

マンチェスターという地名は各地にあるようで、映画の舞台になったのは題名のまま、マンチェスター・バイ・ザ・シーという地名の、港やゴルフ場などがある町らしい。不思議な地名だ。海岸そばの横浜町・・・そんな地名は日本では考えにくい。グーグルでみると、映画のシーンそのまま、静かそうな街並みが写っている。この町がなぜ映画の舞台になったのかは分からない。

 

元奥さん役を演じていたミシェル・ウイリアムスと、甥っ子役のルーカス・ヘッジスという若者に存在感を感じた。主人公がアカデミー賞を取ったが、この助演者のほうが素晴らしくなかったろうか?気持ちがよく分かる演技だったと思う。

 

特に画像のシーンでウイリアムス嬢が主人公に語るセリフは素晴らしかった。現実には謝ろうとしてさらに酷い言葉をかけてしまうことが多いものだろうが、映画的にはあれは作品のレベルを決定する素晴らしいセリフになっていたと思う。

 

 

 

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