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2018年2月 3日

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 (2013)

Locke

 

- Shoebox Films etc. -  

 

仕事を終えた現場監督。彼は不倫相手の出産に立ち会わないといけない。そうしないと、彼を捨てた父親と同じような人間になるからだ。しかし、仕事と家族を失いかねない状況で、彼は苦悩することになる・・・

 

DVDで鑑賞。本格的な映画というより、舞台向きの戯曲といった印象。出てくるのは主人公だけで、あとは声の出演のみ。これは完全に舞台向きの設定だと分かる。おそらく元々は舞台を想定して作られたが、誰かが気に入って映画化したのではないだろうか?あるいは、監督自身がアイディアに乗ってしまって、後先考えずに制作を進めたのだろうか?

 

結果的に、この作品は興行的に良い成績はおさめられなかったらしい。広く大勢の観客に受ける内容ではなかったから、仕方ないかもしれない。でも、出来栄えは素晴らしかったと思う。まず、アイディアが素晴らしかった。絶体絶命に近い主人公の境遇、なぜ主人公がそんな行動をとらざるを得ないかという設定、主人公に絡んでくる会社の上司や部下、そして懸命の工夫によってトラブルを回避しようとする経緯、それらは教科書にしても良いくらいの完璧さだった。カメラの配置、直接主人公を見せるか、何かに反射して映すかなどの工夫も素晴らしかった。

 

一人芝居をやっていたのはトム・ハーディー。腕力自慢のタフガイを演じることが多い彼だが、役柄が違っても実にうまく演じていて感心する。厳しい状況でもときおり笑顔を見せる演技がリアルさにつながっていたように感じた。人はやばい状況で、逆に笑いが増えることがあるから。

 

優れた作品ではあった。しかし、これは映画である。映画向けに検討しなおすべきではなかったか?車内だけで物語を進めようというのは実験的で、芸術的な面では良いかも知れない。面白い趣向だと感じてくれる人は多いだろうが、映画の場合は家族を含めて大勢の人達が同時に観ても、ある程度の共感に誰もが浸れることを目指さないといけない。最初からビデオ屋に直行するような企画では、さすがにマイナー過ぎて感心できない。芸術性、特異性とともに、一般性も目指すべきと思う。

 

そのために、おそらくだが他の人物も登場させたほうが良かったのではないだろうか?回想シーンや、主人公の頭の中を映像化するようなシーンでも良い。どうしても一人芝居のスタイルにこだわるなら、画面を分割して他の人物を小枠で同時に映すとかしても良い。相手の顔だけは映して、相手がいかに怒っているか分かりやすく演じてもらうだけでも効果的だろう。声の出演だけでは、映像の迫力の面で苦しいことは間違いない。

 

 

 

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