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2018年2月 6日

チャップリンのスケート(1916 )

The_rink

- Mutual Film

 

主人公はレストランの店員だが、イタズラに終始して仕事は滅茶苦茶。休憩時間には悠々と近所のスケート場に行き、そこでも騒動を巻き起こしている。レストランの客とスケート場の客の間で起こる騒ぎを描いた作品。

 

監督や脚本もチャップリンが担当。この頃には既に主体的な立場で契約できていたようだ。人気が急上昇し、またアイディアも明らかに良いと判断し、好条件の契約を結べたに違いない。

 

大男の紳士とのやり取りがおかしい。腕力では問題にならない差があるが、スケートの腕や奇妙な逃げ方によって捕まらずに逃げおうせるようになっていて、そこで笑わせる仕組み。これは相手役のエリック・キャンベルという俳優の魅力もあるのだろう。漫才師のペアと同じく、強面路線とどこか抜けていそうな雰囲気で、彼らはたくさんの映画で共演している。短期間に多くの作品を作っているから、仲間通しのほうがやりやすかったのだろう。

 

この作品の存在は知っていた。チャップリンを紹介したテレビ番組で観たことがある。スケートの腕前が素晴らしいので、若い頃に相当な練習をしていたのだろう。その腕前があるから、スケートを映画に取り入れたいと考えたのは当然だ。この作品の他にも、モダンタイムスでデパートの二階でだったと思うが、目隠しした状態で、えらく危険な場所でスケートをやるシーンもある。上手く映画に使っていると思う。

 

この作品はストーリー性に乏しいと思う。レストランとスケート場には、あまり関係はないように思う。不倫をしたい夫婦が登場する場としてレストランやパーティーしかなかったから、そんな設定にしたと思うが、無理が感じられる。作品に悲劇的な要素はなく、主人公は浮浪者ではないし、空腹に苦しむような様子もない。ただイタズラや適当な仕事をやっており、共感できるような人物ではない。後年の悲喜劇のスタイルじゃなく、ただのギャグマンとして演じていたようだ。5年後くらいに「キッド」を作っているはずだが、この時期はまだペーソスを狙う路線は時期尚早と考えていたのだろうか?

 

笑いと涙の路線は斬新なものだったろうから、人気が固定化し、観客も慣れたり飽きたり、新しい企画に誰もが納得するという確信がないと乗り出しにくい。おそらく銀行や会社のスタッフ達も、まったく新しい喜劇を作る前は、かなりの不安があったのではないだろうか?深刻なシーンがあっても、観客は次のシーンで笑ってくれる、悲喜劇でも受けるという確信は、おそらく徐々に作られたのだろう。

 

今で言えば、チャップリンの長尺映画は斬新なイノベーションによるものだった。映画の一大ジャンルを作り出した。この作品はイノベーションの前段階だったようだ。

 

 

 

 

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