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2017年12月29日

メッセージ(2016)

Paramount

 

- Paramount -  

 

世界各地に突然現れた宇宙船。彼らが来訪した目的を探るため、言語学者らが接触を試みる。難航を究めた研究の結果、彼らとの会話が成立するが・・・

 

静かなSF映画。エイミー・アダムスの回顧~トラウマの映像と現在の仕事の進行状況が交互に繰り返され、かなり複雑な構成になっていたが、回顧部分には娘が登場するので両者が混同されるようなことはなく、分かり易く表現されていた。

 

神秘的な雰囲気で登場する宇宙人と、彼らが表現する文章の表現が素晴らしい。おそらく本物の言語学者やデザイナー達が考えたのではなかろうか?アルファベットなどを基本とする人類の文字表現は、表現の一形態に過ぎないという根本的な認識がないと、あのような表現方法はできなかったろう。言語学的、芸術的なセンスの良さを感じた。

 

主演はエイミー・アダムスで、素晴らしい演技だったと思う。美しい女優だが、おばさん体型で過剰に色っぽくないので、今回の役柄にはまっていた。もっとお色気のある女優だったら、直ぐに恋愛沙汰の方向に話が生きそうな気がしてしまう。あの体型が重要だった。

 

監督のドゥニ・ヴィルヌーヴ氏は、ブレードランナー2の監督をしているらしい。確かに両作品には共通する性格がある。靄がかかった広大な光景の中に、静かに直線的に進む飛行船や乗用車の映像がある。静かすぎて、そして靄がかかりすぎて少し不気味な感覚がある。何かが急に攻撃してこないだろうか?といった、本能的な恐怖に訴えているのだろう。

 

静かなSFというと、宇宙で謎の遺跡を探検する話を思い出す。「エイリアン」シリーズも、実際にエイリアンが顔を出すより、人間が進みながらエイリアンが登場しないか恐れているシーンのほうが怖い。ただし、静かに進んだ作品でも、時には退屈してしまうことがある。静かなシーンだけではいけないようだ。今回は重力に変化が来たことを表すCGや、宇宙人の文字表現など、他にも斬新なアイディアが随所にあったので、退屈しないで済んだ。

 

CGが本当に素晴らしい。円盤のような宇宙船の形、その向きの表現や、霧の中にたたずむ光景が美しい。ただ規模の大きさで観客を驚かせようとしても、もはや「インディペンデンス・デイ」で無茶な大きさが描かれていたから意味がない。斬新な形態こそ重要だったが、今回は大成功していた。

 

予知能力が大事な要素になっていた点は、良かった面もあるし、テーマとして少し底が浅くなる面もあると思う。予知能力を持った人間が、未来を覚悟して受け入れるかどうか?そこを観客も納得できるかどうかが大事になってくる。今回の登場人物が、どのように覚悟を形成するのか、観客も「ああ、自分でも受け入れるだろう」と納得できるに至っていたかどうか、少し疑問に感じるところもあった。おそらく彼女が恋人の命がけの献身によって救われたなら、全てを受け入れる心境が理解できただろう。

 

 

 

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