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2017年12月 4日

家族の肖像(1974)

Conversation_piece

- CIC Gaumont -  

高齢の教授の住まいに、価値観の違う若者達が暮らすようになり、老教授が体験する混乱、心の交流、そして別れを描いた作品。 

公開当時、劇場で鑑賞した。かなり大がかりに宣伝され、いろんな雑誌で紹介されていたと思う。印象に残ったのは調度品や絵画、住居の豪華さ。ストーリー自体は、それほど感動するようなものではなかったと記憶する。

劇場主も還暦が近くなり、感じ方が違う今回の鑑賞では、少し理解が深まるかも知れない。そう期待して鑑賞したが、やはり話の内容について感動するには至らなかった。DVDで鑑賞。

部屋の見事さには、再度感動した。天井がとんでもなく高い上に、部屋のひとつひとつが広大で、おそらく一部屋に我が家族全員が寝泊まりすることも可能であろう。いかに温暖なローマと言えど、冬は暖房が効かず、寒すぎるだろうと想像した。

時代設定はいつ頃だろうか?母親が戦時中に亡くなった、自分は兵隊から帰ってきたと言っていたから、終戦時に20~25才として劇中で65~75才としたら、ほぼ同時代を描いていたことにならないだろうか?この作品の公開当時、ファシストの生き残りがいたのか?イタリアの事情はよく知らない。

テーマが切実なものに思えなかった。高齢の人間の、若い人間に対する感覚、自分の生い立ちや結婚生活に関する後悔の念や思い出など、おそらく監督自身が感じる感覚を、そのまま映像化したに過ぎず、私小説のような作品ではないかと思えた。

描き方についても、どこまで計算したのか理解できない部分が大きかった。「ああ、このカメラの位置は考えたなあ」と、感心してしまうシーンは少ない。この作品の当時、監督のビスコンティは脳卒中で動きが制限されていたらしいので、あたかもそんな人物の視点を再現したような、固定的で斬新さに欠ける構図のように思えた。

調度品や部屋の広さだけでは話が持たない。若者役のヘルムート・バーガーは確かに美男子だとは思うが、色気が漂うほどのイケメンとは感じないので、俳優の魅力で引っ張られる作品にもなれていないように思う。これはホモセクシャルな感覚がない劇場主だから、鈍いだけかも知れないけど。

若い娘役が絶世の美女だったら、作品の魅力が大きく変わったかも知れない。可憐な美少女が幸せになって欲しいといった老人の感情が浮き出ると、多くの人が感情移入できるはず。美男子への愛情だと、そのへんでついて行けない人も多い。監督のセンスに限界があったのかも知れない。本物の貴族だった監督のセンスは装飾品に魅力を持たせる力があったが、もっとダイナミックなストーリーがないと、万人には伝わらないだろう。

 

 

 

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