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2017年10月11日

タンゴ・レッスン(1997)

Adventure_pic

- Tango,Sally Potter -

次回作の構想を練る監督は、タンゴのダンサーに弟子入りし、ダンスを扱った映画作りを目指すが、互いの関係は・・・・という流れの話。

この作品は私小説的な作り方をしたらしく、監督自身の体験と、創作された部分と、実際のダンス、本物のダンサーが演技もするし、演出もするという、実験的かつ芸術的な方向性のようだ。

監督自身のダンスは確かに上手かった。完全な素人の動きではなく、ちゃんとバレーなどの素養がありそうな美しい動きをしていた。でも、本職のダンサーほどの体力、動きの切れ、優雅さは感じられなかった。ダンスは、やはり本職に任せるべきではなかったろうか?ダンス映画は、基本としてはダンスを見るために客は来るので、圧倒的な踊りが必要と思う。

監督の演技も悪くなかった。悩みや怒りを上手く表現し、気持ちを分かりやすい。でも若々しくないし、見た目だけで観客を惹き付けるような魅力は感じられなかった。仮に踊りが下手でも、スタイルだけ素晴らしければ、男性客は怒らない。監督は、見た目で損をしていた。

相手役は本物のダンサーだそうだが、テレビで見る本職のダンサーは、もっと動きが速いように感じた。世界大会の映像を見ると、もっと体の細いダンサーが、目にも止まらぬステップを披露している。今回の相手役は優雅に踊っていたが、体格や素早さをウリにしたダンサーではないようだ。その点、ちょっと不満に思えた。

ラスト近くで、ヒロインを交えて4人のダンサーが踊るシーンは、非常に優雅で味があった。二人で川べりを踊るシーンも美しい。踊りを美しく撮影するセンスが素晴らしかった。そのいっぽうで、突然主人公が歌い出すシーンは、中途半端なミュージカルのようでチグハグな印象を受けた。途中で調子が変わるのは、学生映画のようなノリに思える。

この作品は、女性用の映画だろうと思う。芸術映画を好む男性でも、おそらくヒロインが替わらないなら作品に対する評価は低めになる。ヒロインが本職のダンサーか、本職の女優なら男性からも評価される。ストーリーも、あえてヒロインを映画監督に設定する必要などない。

基本として、私小説は小説だから許されると思う。映画では好ましくない。チャップリンやウディ・アレンはよく自作自演しているが、ダンスをウリにしたりはしていない。ダンスを見せる際は、多少上手い程度ではダメなんだ。圧倒的な巧さが必要なのだ。

 

 

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