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2017年9月 2日

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(2015)

Trumbo

-  Trumbo  -

ハリウッドの赤狩りに泣いた脚本家の伝記映画。DVDで鑑賞。主役のブライアン・クランストンのとぼけた表情が良い味を出していた。

トランボ氏が「ローマの休日」の本当の作者であることは知っていた。その他はよく知らなかったが、「ジョニーは戦場に行った」「パピヨン」などにも関わったそうだから、超大物の映画人だったことになる。ハリウッドに嫌われてはいないはずだ。

その能力が図抜けていたからこそ、赤狩りを生き延びることができたのだろう。トランボ以外の映画人で劇場主も知っているのはエドワード・G・ロビンソンだけだから、その他の人達は社会的に葬られてしまったのではないか?

トランボの家族の描き方が良かった。団結して戦い抜いた家族だったろうが、それなりに諍いがあったと描かれていた。それが当然だろう。子供達は犠牲を強いられて、時には爆発しないとおかしい。

そこを描く場合の、描き方が難しい。大悲劇として描くと、質の低いメロドラマになってしまう。この作品はホームドラマのように、わりと軽めの悲劇として描いていたから、質を落としていなかったと思う。

ロビンソンを非難できるかというと、難しい。仲間を売ったように描かれていたから、描かれた通りなら許しがたい人物ではあるが、証言の当時は既に仲間は投獄されており、実質的に何かが変わるわけではない。裏書きを強要されただけ。彼は、大きな役割を果たしたわけではない。そう言うこともできる。

赤狩りはいつ終わるか分からない。その間、自分が証言を拒否して投獄されたら、復帰は難しいだろう。俳優の旬の時期は限られている。脚本家なら復活できても、俳優は終わりだ。トランボらとは立場が違う。

もしロビンソンが証言を拒否していたら、後々は賞賛されただろう。しかし、破産していたかも知れない。命に関しても、保証はできなかった。少なくとも部外者の劇場主は、彼の行動を非難できるほどの実績がない。歴史的な事変、政治的な圧力に対して抗えなかった人は、批判できないように思う。

トランボは賞賛されるべき人物だ。苦労して生活費を稼ぎ、家族を養い、メキシコに逃げたりしながらも復活を遂げたしぶとさに敬意を表したい。

赤狩りは酷い行為だった。だが、当時のソ連のことを考えると、トランボ本人の心情はともかく、ソ連サイドでは彼のような人物を利用しようとしていなかったはずはない。利用できるものは何でも使って、米国の力を削ぎ、ソ連側が有利になるように狙っていたはずだ。

今日も、ロシアの資金やサイバー部隊が、米国の世論を操作し、政治的動向を自分達に有利に運ぶように、行動していないはずはない。一連の大統領選挙の報道を見ると空恐ろしくなる。当時もそうだったはずだ。ロシア側からすれば、そうしないと欧米側から攻撃されるので、仕方ないのだろう。

赤狩りは非人道的な行為だったが、何かの方法によって情報を集め、破壊活動を未然に防ぐ対策は必要と思う。基本的人権に触らない形でという条件は要るが、対策しないと敵に支配されるだけだ。敵は、人権などに配慮しない連中だ。少なくとも支配、被支配の関係になったら、いかに優れた勢力であっても、過激な支配にならざるをえない。完全に支配されるのは避けないといけない。

 

 

 

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