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2017年8月18日

後妻業の女(2016)

Gosaigyonoonna

- toho -

裕福な老人を餌食にして遺産を得る後妻と、彼女と連携する結婚相談所長が、遺族や探偵などの追及に遭いつつ苦闘する話。DVDで鑑賞。

非常に出来の良い、まとまりのある作品だった。起承転結の流れが絵に描いたように明確、関わる人々のキャラクターもはっきりしていて、上手くできた話だなあと感心した。最初から、安心して楽しめそうな予感が感じられた。でも逆に言うと、何が起こるか分からないようなオリジナリティにあふれるストーリーではないのかも知れない。

互いに騙そう、暴露しよう、金をせしめようと苦闘する姿がおかしい。大阪弁は有効に働いていた。標準語でやっていたら、人情に欠ける話になってしまっただろう。原作は読んではいないのだが、おそらく良い雰囲気とブラック・ユーモアが漂う話だったのではないだろうか?

子供には向かない作品。教育上はよろしくない。でも、反面教師としての意味なら、これは優れた作品だ。優しい言葉で寄ってくる人物の、裏に隠れた怖い意図を推測させる教育的効果が、もしかするとあるのかも知れない。恋人と、この作品を観て良いかどうか、それは難しい問題。そのカップルの事情によるだろう。

登場人物のほとんどは善人ではなかった。でも、各々が魅力に満ちており、描き方も演じ方も好感を保てるように上手く考えていたと思った。魅力ある悪人は、善人よりも印象に残る。それはテレビでも小説でもそうだ。この作品は、そんな人物が多数いたので、人物の魅力だけで作品が成り立っていた。

ヒロインの大竹しのぶは、劇場主の感覚ではお色気たっぷりの女優ではないのだが、どうだろうか?本来なら、誰でも色気でだましそうなグラマー女優のほうが、説得力があったのではないか?代役として具体的に誰が良いか考えてみると、たしかにあまり思い当たらないのだが・・・・ だが、色気部分を省略して、甘えた声色とドスを効かせる時の演じ分けなどをみると、大竹嬢は本当に上手い役者だなと感心する。

相棒といえる存在の豊川悦司も、怪しいことを生業とする玄人の雰囲気が漂って素晴らしかった。以前より太って、いやらしい怪しさが目立つようになったので、この役には非常に合っていた。ただし、他の俳優でもっとキャラクターが合致する人がいたかも知れない。特徴のある役だから、比較的演じやすいかも知れない。

両者とも、適度に抑えた表情だと感じた。強烈な個性を表現しようと派手な演技をしてしまうと、人情喜劇から逸脱して、全くのドタバタ劇になってしまう。この作品の設定を考えると、適度に抜いた脱力も必要だったように思う。名演を目指してはいけなかったのだ。

後妻業・・・・身近には見聞きしたことがない。よほどな才能がないと、後妻の意図を察知され、家族から先に手を打たれてしまうし、相手もだまし通せないことが多いと思う。いっしょに暮らしていて、愛情を表現し続けるのは大変なことだ。

劇中でも語れていたように、愛情があるかのように振る舞い続け、老人を満足させたなら、それは確かに何らかの意味がある。本物の愛情がなくとも、義務感の強い女性は献身的に働けるから、本物の愛情と実質的には変わらない。殺人や窃盗、詐欺などの行為をともなわないなら、後妻業は社会貢献になるのかも知れない。

 

 

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