映画評

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2017年5月14日

生物はなぜ誕生したのか(2016)

A_new_history_of_life

- ピーター・ウォード、ジョセフ・カーシュヴィンク著、河出書房新社 -

・・・タイトルは、本の内容を正確に表現していない。生命の誕生というより、誕生して大量絶滅を経て、進化してといった歴史を論じた内容。この書籍の内容は勿論、映画にはなっていない。でも、テレビドキュメンタリーくらいには今後なりそうだ。できればBBCなどが、そんな企画を実現して欲しい。BBC作品なら、きっとNHKでも放映されるだろう。

複数の科学者の研究結果を集大成した感のある、かなり専門的な内容。一般人にも分かるようには書いてあったが、翻訳された文章は平易とは言い難い印象。もう少し、子供向けの言い方に近づけると、こちらとしては助かったと思う。

劇場主が中学生までに学んだ内容と、最近の地学の内容は随分違う。子供の図鑑を見ていて、そう気づく。スノーボールアースといった表現は、この本の著者らが言い出して初めて認知された言葉らしいので、高齢者世代では認識ができていない人も多かろう。進化や絶滅に関しても、認識は古いままと思う。

認識は、意外なほど大事と考える。正確な認識がないと、大事な問題に対して無関心だったり、古い観念にとらわれて悲観的になりすぎたりしかねない。その認識のレベルによっては、高い認識レベルの人を悪く評価し、「あいつは小難しい事を言っている、わけの分からない人物」といった風に排斥してしまいかねない。それで実害がないと良いが、そんなレベルの判断で、選挙でも自分に似た誤った認識の人物を選ぶと、当然ながら選挙結果が悪くなる。

地球環境に関する研究予算を考えると、分かりやすいかも知れない。防衛費最優先にしないとミサイルが怖い、地球環境のような興味ない分野の予算は認めない・・・・そんな大臣が選ばれたら、さすがに役人達も勝手なことはできないだろう。役人達の中でも、商品価値のありそうな研究に予算を集めたいという認識が主流なら、地球のどうのこうのを論じる研究は予算削減で意見が一致と相成るだろう。認識は大事だ。

ただし、人類に対する大きな脅威に対して、はたして対処ができるものなのか、そこは疑問に感じる。対処できないなら、認識がどうあっても、結果的に大きな違いはないことになる。

地軸の変化、太陽との距離、太陽の活動状態、巨大火山の噴火、酸素濃度の変動、温暖化物質の変動などは、いずれも大きな環境変化を生む要因だろうが、どれも対処は簡単じゃなさそうだ。もしかすると、酸素や二酸化炭素濃度を上げ下げする技術が、ミドリムシあたりを使って可能になるかも知れないが、地球レベルの量をいじるとなると、実現のためには膨大な予算が要る。計画に反対する人も多くなるはず。

赤道付近に人類を集めたり、極地に全員で移住となると、その予算や食料の分配、産業構造の変化にどう対処するかなど、スムーズな運営は難しそうな気がする。戦争が待っているのではないだろうか?戦争で、ある程度人間を減らす、人為的な絶滅計画が持ち上がるかも知れない。怖ろしいことだ。

地球温暖化対策についても、米国は後ろ向きの考え方に傾いているらしい。実際、本当に温暖化がこのまま進行するとは限らない。火山の噴火によって、一気に寒冷化が進む可能性もある。そうなると、「ほれ見たことか!温暖化なぞ嘘だったのだ!」と、勝ち誇った某大統領氏がツイッターで吠えるだろう。各国が足並みを揃えて対策をとることは難しい。

したがって、気候変動が来ると分かっても、それが実際の政策に反映されるまでに時間がかかるし、正しい案も凄まじい反対を受けるだろうから、対応は必ず遅れると考えたほうが良い。かなりの実害が生じて初めて事態の認識が進むだろう。おそらく、経済的基盤が弱い地域では多数の死者が出る。仮に対応策があるとしても、弱者は取り残されるはずと、劇場主は悲観的に思う。

 

 

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