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2017年5月 5日

存在の耐えられない軽さ(1988)

Orionmgm

- The Unbearable Lightness of Being -

自分達の自由を制限される側になったら、その憤懣は計り知れない。でも脅迫や迫害も怖い。当事者でない人間は無関心であったり、あたらず騒がずの態度に留まることが多く、自由人は社会的に排除されやすい。

プラハの春の時代を背景に、プレイボーイの脳外科医と妻、愛人らが経験する人間模様を描いた作品。DVDで鑑賞。3時間近い大作。・・・その長さこそ耐えられない! おそらく120分程度に短縮できるし、そのほうが多くの人が見やすかっただろう。

今となっては、プラハの春は過ぎ去った過去。若い人の興味の対象外のはずだ。解放され、そして分離してしまったチェコスロバキアの今日からすると、あの失敗は、ほんのちょっとした先駆けにすぎなかったのかも知れない。

プラハの春やチェコへの軍事介入を直接描くと、殺伐とした話になる。自由な考えの人間を描いて背景を強調するのは、ちょうど「ドクトル・ジバコ」と同じ手法だ。この作品も、意図がちゃんと反映されていた。

有名な俳優がたくさん出演していた。この作品の原作が有名だったから、将来性のある俳優が集まったのか、あるいは逆に、この作品で印象深かった俳優がスターになったのか、その両方かも知れない。

作品の存在は知らなかったが、タイトルは知っていた。小説が有名だったからだろう。でも、意味不明の邦訳ではないか?「耐え難い軽さ」だけでも充分じゃなかろうか?

ダニエル・デイ=ルイスが主人公を演じていたが、プレイボーイの雰囲気は全く感じられなかった。それに、年齢を経て変化する様子も全く感じられない。上手い演技だと納得することができない。でも、本当の色男は意外にあんな感じの、浮き世離れした人間なのかも知れない。

ジュリエット・ピノシュは若々しくて美しいが、こちらもヒロインの個性を非常に上手く表現できていたかどうか分からない。ときどき不必要に笑い出しているように感じた。演技より、演出に問題があったような気がするのだが、よく分からない。

長さと演出方法に問題があり、せっかくの題材が、その魅力を十分に発揮できていない気がする。家族で観れる映画ではないし、もっと色気に重点を置くなど、何かの戦略があったほうが良いと思う。乱痴気騒ぎを繰り返していた自由人が、虐げられた惨めな境遇に陥る流れが劇的なほうが良い。

ソ連軍が侵攻してくる予感は、映画でも語られていた。そんな時代には、大っぴらに政権を批判したりするのは賢くない。身に迫る危険を重視すべきだった。今の日本のように自由な環境は滅多にないはず。国内か国外か分からないが、激しい弾圧をやらかす勢力がきっとやってくるはずだ。

侵攻する際には、ソ連側も相当な時間をかけて慎重に検討したらしい。単純な怒りや、メンツ、力の誇示などが目的ではなく、抵抗に対して対策を講じ、入念に調査し、人員を確保し、やむなく武力で管理すべきと判断したんだろう。あちらからすると、本当に仕方なくやったことではないか?

西側が反発しても、軍事介入まではできないと考えたはずだ。その認識は正しかった。チェコ側は西側との連携が足りていなかった。西側も、積極的に支援して全面戦争に突入するのは愚策と考えたのだろう。数年前にクリミアを併合した時も、ロシアは同じように状況を分析して行動したのではなかろうか?

でも、周辺の国を管理し続けるのは、財政や人員、国力の無駄遣いには違いない。結果的に、それでソ連は崩壊したと思う。クリミアはどう影響するのだろうか?なんとか持ちこたえているようだが、今後はどうなるのだろうか?

 

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