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2017年4月17日

シェルブールの雨傘(1964)

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- Cine Tamaris etc -

17才のジュヌビエーヴは、自動車修理工のギィと恋仲。しかしギィはアルジェリア戦争に出征。ふたりは離ればなれになる・・・・

・・・・ラ・ラ・ランドを観ていて、急に思い出して鑑賞。ラ・ラ・ランドの場合は、戦争が二人を分かつわけではない。でも両方ともミュージカル映画で、恋愛の経緯に似ている部分もある。あらためてDVDで鑑賞してみた。

セリフを全て歌にしている点が、この作品の特徴。しかも、曲にパターンがたくさんあるわけではなく、ほぼ主題曲だけに限定されているから、本当に独特な作り方だった。独特な作り方が魅力になっている面があれば、魅力を損なっている面もあると思う。やはり無理はしている印象。

アメリカ流のミュージカルでは、人物が急に派手に歌い、踊り出す。陽気に跳んだりはねたりするのが通常で、多くの作品が明るい雰囲気になる。派手なのが基本。いっぽうで、現実からは完全に遊離してしまう。暗い話の場合は、違和感が生じやすい。メロドラマは、フランス流のほうが向いているかも。

この作品は役者が口だけ動かし、本職の歌手が歌を担当しているそうだ。したがって、ささやき声もちゃんと聞き取れる。そうでないと、オペラみたいな大仰な動作、腹から出す声が必要になって、現代の物語を描くことはできない。口パクは正解だったと思う。

細かいアイディアや基本に忠実な演出に気づく。列車で出征する恋人を送ったヒロイン、画像のすぐ後でプイッと去って行く。普通は列車が見えなくなるまで見送るだろう。つまり既にヒロインの心は堅実な判断に傾いていたのか?と、想像できる。ちゃんとオーソドックスな演出をこなしている。

曲が素晴らしかった。ミシェル・ルグランはたくさんの映画音楽を作ったが、この映画の曲が一番素晴らしいと思う。悲劇的なストーリーと相まって、印象深く残った。でも制作当時、監督はそれほど有名ではなかったと思う。しかも、この企画はかなり斬新だ。よく参画したものだ。作品がコケると思わなかったのだろうか?

娘が妊娠して、母親が困ったと言いながら、嬉しそうに孫の洋服を準備するシーンが笑えた。娘の将来を考えて策を練りながら、孫のことは別と認識し、楽しみにするのは、たくましくて、しかも人間的と思う。母親のキャラクター表現として、最高だったと思う。

カトリーヌ・ドヌーヴが非常に痩せていて、メイクのせいか頬もこけていた。役のためにダイエットをやっていたのかも知れない。ラ・ラ・ランドのヒロインは悲劇的な印象が全く感じられなかったが、ドヌーヴは完全に作品のイメージに合致している。メロドラマなんだから、ドヌーヴのような女優のほうが役柄に合っている。

フランスは未婚女性に手厚い保護があるという。でも、当時は女性が独立して生きていくのは難しかったのかも知れない。豊かな生活は、豊かな人と結婚することが今でも大きな条件。米国で映画スターを目指す野心家の娘とは、キャラクターが違う。したがって、キャスティングも違って然るべきではある。でも、一般的な傾向として、恋愛映画では悲劇女優のほうが印象に残ると思う。

ギィ君のほうは、あんまり冴えない役者のように感じた。眉毛を寄せる表情が情けなさ過ぎる。この作品では、ドヌーヴの添え物としてしか扱われていなかったのかも知れない。凄い二枚目、マッチョマン、男っぽい役者だったらどうだったろうかと思った。たぶんスター俳優のほうが女性の観客に訴えるものがあったのでは?

 

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