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2017年4月11日

博士の異常な愛情(1963)

Columbia

- Dr.Strangelove or..... -

空軍基地の司令官が発狂し、核攻撃を命令した。政府や部下が命令撤回を画策するが、事態はどんどん進む・・・・

・・・核兵器の恐怖を扱ったブラック・コメディ。原作本があるそうだが、キューブリック監督が大胆に作風を変えて喜劇仕立てにしたという。ピーター・セラーズやジョージ・C・スコットが大まじめに演じていて、それでかえって喜劇的になっている。演じられたのは古いタイプのギャグだが、アイディアにあふれる作品。

邦題は博士の名前から採られているが、その博士は脇役に過ぎず、ドイツ名を英語に直訳した際に名前がおかしくなり、笑われながらも嫌われるキャラクターを、そのままタイトルに使ったようだ。皮肉の意味だろう。軍事技術の専門家を象徴し、茶化したといったところらしい。でも、いかに茶化しても、この人物のような専門家は、必ず会議に呼ばれて意見を聞かれるだろう。

冒頭のクレジットが非常に読みづらい。適当に殴り書きしたような文字で、しかも構図がおかしいので、クレジットの意味を成していない。作品がいちおうコメディなんで、クレジットの部分は重厚に、真面目くさって表示しても良かったのではないかと感じた。斬新と言えば斬新だが・・・

映像の技術に関しては、さすがに古い。テレビのSFのレベルと、あんまり変わらないような気がする。当時の技術では、あれが限界だったのかも知れない。1980年ころから急速にCGが進化したのだから、技術面に関しては旧時代のもの。アイディアだけで勝負していたと言える。

アイディアは素晴らしい。その後のSF映画に、この作品に影響された作品は多いと思う。ちょっとした偶然や、ひとりの人間の狂信的な信条が、破滅の原因になる可能性は確かにあると思う。あるいは、様々な検討を重ねて作戦に落ち度がないようにしたはずなのに、想定外の事態によって最悪の結果が出る、それもありうることである。

米国の戦略会議の様子がおかしい。好戦的な将軍が、先制攻撃をしたがる。その理屈には一定の道理があり、説得力が感じられる。まるで戦前の日本軍の参謀のような理屈。でも、肝心な部分の配慮、深謀遠慮に欠けると、この映画のような結果が待っている。将軍になるような人物は野心があって、サイコパス的な性格を持つ人が多いはず。理路整然と間違う人物も多いだろう。将軍は自分の戦績が大事だし、技術の専門家は最新の武器を使って、その威力を誇りたいはず。

先日、米軍はシリアの基地を攻撃した。シリア軍が毒ガスを使ったらしいことに反発したようだ。まさか本格的に参戦する意図はないと思うが、もしロシア軍が基地にいた場合は、かなり怖ろしい事態に進展するかも知れない。あっさり手を引くとメンツがつぶれるから、より厳しく攻撃して優位のうちに撤退したいと双方が考えているとすると、どんどんエスカレートするかも知れない。破滅、破綻が来ないという保証はない。

破綻で思い出した・・・・東芝が危機的な状況らしい。

事業を分社化し、売却などによって乗り越えようと努力はしているそうだが、超優良企業だったはずの東芝が、こんな急展開で破滅の危機に瀕するとは、まさしく想定外のこと。劇場主は、まったく予測していなかった。経営会議では、いったいどんなことを話していたのだろうか?興味がある。各々の役員達の業績争いや、忖度合戦に終始し、大事な判断を間違っていなかったろうか?

原発事業には大きな危険が潜んでいる。それくらいは素人でも分かるが、それにしても急な話。劇場主の感覚で思うのは、自然エネルギーに賭けるなら許せるが、原発に賭けて失敗したのなら当然の結果なのかも知れない。判断の失敗には違いないのだが、金銭面以外を含めた総合的な面では違う。会計操作の問題もありそうで、企業倫理の観点からも自業自得ではという印象も浮かぶ。

でも、東芝で働いている人達にとっては大変なこと。会社の首脳部が、おそらくは運も悪かったのではあるが、結果的に無茶な事業に投資し、保身目的の粉飾をやって、それで逃げ切れると判断したツケが、部下達に回ってくる。社員達はちゃんと仕事していても、運によって今後、酷い目に遭うかも知れない。

営利企業だから当然のこと、大発展もあれば惨めな破綻も当然と言えばそれまでではあるが、東芝の製品や、スポンサーだった日曜劇場、サザエさんになじんできた者としては、感傷的にならざるをえないものがある。願わくば、惨めな破綻が来ないよう、祈るばかり。

 

 

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