映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 神様メール(2015) | トップページ | ロンサム・ダブ(1989) »

2017年3月 9日

ライオット・クラブ(2014)

The_riot_club

- 嫌悪感 -

エリート大学の中で独特の伝統を誇るライオットクラブ。新メンバーを入れて、今日も過激な遊びに熱中しようとするが、事件が起こる・・・・

・・・DVDで鑑賞。非常に面白い作品とは感じなかったが、日本とは社会構造が違うイギリスの問題を、かなりの誇張はあるとしても、赤裸々に描いていたのではなかろうかと感じた。世界的に見て興味深いテーマを扱った作品かどうかは分からない。日本においては、少し違ったエリートの問題があるから、それなりの意義があるのかも。

物語の大きなストーリーとして、グループが何かの事件を起こして試練が訪れるという流れは良かったと思う。事件に対して、彼らが個々にどんな悪辣な態度で対応をとるか、そこは充分に描かれていた。できれば、もう少し色づけのようなエピソードがあったほうが良い。くだらないゲームのシーンは省略して、メンバーの個性が分かるように工夫すべきだろう。

主役に相当する比較的ノーマルな青年については、ラブシーンだって省略して良かったかも知れない。教授達を始めとする周囲の人間の対応の問題点や、下層階級の人間の卑屈な態度が象徴されるようなエピソードが様々あったほうが良い。対立に満ちていないといけない。下層階級の感情表現が少なかったのでは?

彼らが事件を起こす理由が、少しだけ理解できた。貴族階級の今後に不安を感じ、戦って生き残ろうとする闘争心が、乱暴な態度に表れてしまったように描かれたと感じる。基本に恐怖がある場合、人は過激すぎる行動に出てしまいやすい。もともと政治的問題にくどかった新入生役が、大事な役柄だった。

メンバーの俳優達の演技が上手かったのかは分からない。レストランの娘役は「ダウントン・アビー」に出演していた女優で、彼女と父親の店主役は良い味を出していたと思う。OBでえげつない個性の俳優は「パイレーツ・オブ・カリビアン」の提督役だったようだが、これも素晴らしい個性。

およそ日本人向けのテーマではない。貴族階級がほぼ崩壊している日本の場合は、大企業の創業家、珍しい成功を収めた企業一家が最も権威ある一族になる。あるいは代々政治家の一族だろうか?貴族社会ほど固定していない点で、健全と言えるかどうか分からないが、機会均等には近い状態とは思う。

日本の部活動も、いまだに酷いところは酷いらしい。サディスティックだったり、権威主義的なことが好きな連中はいつの時代にもいるものだ。部活動に限らず、何かの団体行動に際しては、時代感覚が遅れた人物、過激な人物のほうがリードしやすい。秩序に必要な権威と自分のわがままが判別できない連中が、皆を妙な方向に誘導するのだ。

とにかく、この作品のテーマなんだろうが、登場するエリート達の人格面は、酷いものだった。他者への敬意に欠けていて、身分中心にものを考える思考パターンが明らかで、観客が嫌悪感を覚えるように描かれていた。ただし、日本でも特権を持った人達は、ともすれば排他的、独善的になるもので、イギリスだけじゃないだろう。典型的な例は、2月に国会でも問題になった文部科学省の天下りだ。

熊大にも圧力が来ていたかも知れない。急に予算が通って新しい建物が建った時期、事務関係者を受け入れていたと、あくまで噂だが、聞いたことがある。大学の再編は、官僚達にとってみれば良いチャンスで、権益を確保する方向で、仲間うちでの話ができていたように思う。本来の仕事をして欲しい。そして退職しても、国家の利益を優先して欲しい。そんな人物だけを採用して欲しい。明らかにエネルギーが他の事に向かっている。

しかし、嫌悪感は相対的に生じるものだろう。劇場主は呑気にブログを書く余裕があるが、夫婦が共働きで一日中働いても、時間や金に追いまくられる家庭だって多いと思う。そんな家庭の人は、劇場主に嫌悪感を感じると思う。呑気さが嫌になるはず。あるいは真摯にボランティア活動にいそしんでいる人が、映画三昧で日々を過ごすアホンダレ劇場主を嫌悪しても、それは当然だ。

嫌悪感をテーマにした作品と言えるわけだが、それでヒットは狙いにくいのではないか?できれば、と言うか過去の売れ筋の考え方ではだが、何か青春時代特有の魅力を感じさせる話が欲しい。それをあえて排除する意味もあるとは思うが、そうなら他の描き方もあったのではと、ちょっと思った。

 

 

« 神様メール(2015) | トップページ | ロンサム・ダブ(1989) »