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2017年2月22日

ギリシア人の物語 Ⅱ (2017)

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- 新潮社・塩野七生著 -

シリーズの第二弾。ペリクレス時代からペロポネソス戦争を扱っている。興味があるデマゴーグの時代に注目して購読。しかし、肝心の「なぜギリシアは衆愚政に陥ったのか?」に関しては、よく理解できなかった。なぜ?に関して、あまり書かれていなかったようだ。難問を避けたのか?

今日的に、ギリシアの衆愚政は非常に気になるテーマ。なんと言っても、某国の大統領は言動が派手で、突拍子もない。そんな人物を選んだ国のことを考えると、ついつい衆愚政を連想してしまう。本当に民主制が機能しているのか?・・・・この感覚は、劇場主だけじゃないはずだ。

本家ギリシアの状況も、かなり混乱の状況らしい。チプラス政権と国民感情、EUとの関係は安定しているとは言いがたいのでは?混乱、激しい糾弾、理解しがたい選挙結果、感情的な政治運動は、世界各国で蔓延している気がする。すべて衆愚政じゃないとは思うけど、似たような混乱は起こっている。

ただ、価値観が揺らいでいるのは、今だけじゃないだろう。昔だって、革命精神に疑問を抱く、資本主義に警鐘を鳴らす・・・・そんな風に観念が揺れ動いていったのだろうと思う。どんなに良い判断や理念も、なにかの欠陥は必ずあり、修正を必要とするはずだ。今は、グローバリズムが一番の問題なのだろうか?

とにかく、当時の状況から再考してみたい。

アテネはテーベやスパルタと敵対関係にあり、にらみ合いの状況であったはずだ。陸上戦で不利な状況だから、アテネとしては陸上戦力を増強したら良かったのではと思う。でも、目立ってそうはしなかったようだ。できなかったのか、必要性を認めなかったのか、そこらに解説が欲しい。

アテネのような都市は、都市内部の人口が限られている。土地の広さに限界があり、もし陸軍を増強するなら海外の領地で食料や物資を確保し、兵士は給与で雇って訓練を重ね、スパルタを数の力で圧倒しないといけない。でも、その維持費は大変な負担になり、そのせいで増強に反対されたのかも知れない。

海軍の場合は、アテネの主力産業の海運、貿易産業にとって確実に必要だから、賛同が得られやすい。シチリアでの戦いで海軍の大半を失った後、直ぐに有志が船を再建したのは、自分達の利益に直結すると思ったからだろう。よって、海運国家アテネは海軍に偏った軍備がなされ、海戦の敗北によって一気に衰退する運命にあったとも考えられる。

つまり、有力者達の目前の利害が海軍偏重の流れを生み、弱点克服という戦略上の必要に反対される。もしアテネが民主制の政体でなかったら、反対が多かろうと必要性に鑑みて陸軍の増強がなされたかも知れないが、多数決で決めたら遠い将来の必要性は排除される。この当然の帰結にすぎなかっただけで、衆愚という表現は不正確なのかも知れない。

今日も似たようなものだろうと思う。劇場主自身も、自分の商売に関係ない分野のことは、ほとんど分からない。将来、想像していない要因によって家も土地も奪われることになるかも知れないが、その予防のために今、たとえば巨大シェルターが必要だと言われても、賛同はできないだろう。意義が分からないからだ。

目前の、直接的で分かりやすい情報に踊らされ、戦略的に正しい手を打てない、誤った選択に走ってしまう、そんな流れは、今日だって同じだ。おそらく、どこの国も直ぐに衆愚政に陥る危険はあるはず。

 

 

 

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