映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 超高速!参勤交代(2014) | トップページ | 帰って来たヒトラー(2015) »

2017年2月 8日

ドナルド・トランプ 劇画化するアメリカと世界の悪夢(2016)

Bunnsyunn_2

- 佐藤伸行著・文春新書 -

トランプ氏が共和党の大統領候補になった時点で出版された本。様々なトランプ関連の出版物の中から、比較的まともそうな印象を受けたので選んだ。

その前に、衛星放送でどこかの国が作ったドキュメンタリー番組を見た。トランプ氏がいかにして大きな商売をやって来たか、不動産王とまで言われるようになったのか、かなり批判的な目で解説されていた。

番組によれば、地上げや恐喝、裏切りなど、ほぼヤクザかギャング団がやるような行為を繰り返し、破産によって税金を免れながら、資金を集めては投資を繰り返し、借金王でもあることが強調されていた。

どれくらいの借金があるのだろうか?特に中国資本に対する借金は、国の首脳にとっては大問題で、それだけでも候補失格と言えるはずなのだが、そこらの理性的な判断から抜け出せていることが、氏の強みでもあるのだろう。

借金王と言えば、孫正義氏も派手な借金をやっている。孫氏の場合は、今のところ冒険が成功していて、トランプ氏のようなヘマはやっていない。その判断のレベルは、全く違うように思える。でも、さすがの孫氏も、今後の勝負がどうかは分からない。戦争や米国の政策によって、急展開の破滅はありうる。運に左右される部分はあるはず。

両氏とも、常識的な判断はやっていないように感じる。鋭いし勇敢だが、常識的ではない。完全な異常と言っても間違いではないくらいの度胸、成功への野心を持っているに違いない。それくらいないと、派手な大金持ちは誕生しないのだろう。

本でも指摘されていたが、成功への強烈な野心が、激しい言動や敵意に満ちた行動の元になっている可能性が高い。医者の世界でも、似たような野心家は多い。なぜ他者を出し抜くことばかり考えるのか理解できないが、彼らにしてみれば当然なのだろう。取引相手はもちろん、仲間や部下、周囲の住民に害を及ぼしても、目標の達成を優先すると考えないといけない。

もともとアメリカの政治家は、ギャングに近い人物が少なくないと思う。理想に燃えるタイプは、オバマやカーター氏が代表と思うが、彼らはイランや中東諸国への対応に失敗が見られる点が共通しており、それは偶然ではないかも知れない。理想などくそっ喰らえと考える悪人でないと、敵対する国に足をすくわれやすいのだ。

選挙対策の専門家は、各々の大統領につくものらしい。入念に戦略を練り、レーガンやオバマ氏などの対策を参考に、選挙を戦い抜く仕事をやっていくと、今回のトランプ氏のような怪人物が勝つという奇跡を起こせるのだろう。そのチームを取材したほうが、トランプ氏の取材より意義がありそうに感じる。

彼らは米国の下層白人達の感情、その怒りや焦りを正確に把握し、有識者達の分析に惑わされずに戦いを進めたわけだから、立派な情報戦略家である。彼らなら、侵略戦争も正当化できるに違いない。 


« 超高速!参勤交代(2014) | トップページ | 帰って来たヒトラー(2015) »