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2017年2月11日

帰って来たヒトラー(2015)

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- 笑えない -

タイムスリップして生き返ったヒトラーが、現代のドイツに現れる。彼はコメディアンと勘違いされ、人気者になる・・・・

・・・・DVDで鑑賞。ドイツで制作された作品というから驚いた。ユーモアで済まされるとは到底思えない内容も多く、作り手に抗議や脅迫が来なかったはずがない。その蛮勇に感心した。日本や米国でなら笑えても、現地のドイツではどうか?

この作品は、いちおう子供でも鑑賞できそうな内容と思ったが、妙な勘違いを起こす子がいないとも限らない、そんな演出である。家族で楽しむために、あえて選択すべき作品とも思えない。恋人といっしょに鑑賞して、はたして相手が喜んでくれるのか?そこも疑問に思う。基本は独りで、皮肉な笑いをイヒイヒと浮かべながら、静かに鑑賞すべき作品ではないか?

主人公を演じたのはコメディアンらしいが、かなり実際のヒトラーに似ていた。皮肉るために演じているのだろうとは感じはしたが、そのためにかなり本格的に所作を真似ていたようで、彼を賛美する目的の映画と誤解され、本気で不快に感じる人も多そうだった。普通なら、もうちょっと揶揄したメイクにするのではないか?

途中ではインタビュー形式で、町の人達や実際の政治関係者と思しき人達と話をさせていた。笑いで済まされないような深刻な場面もあり、部外者の私達から見れば面白かったが、画面に出て来た人達は後で激しく怒ったのではないかと思った。

あらためて驚いたことに、ヒトラーの理屈は今日でもかなり通用し、説得力がある。似たようなことを言っている政治家も多い。戦前の時代に支持が集まったのは当然。今日だと東欧や中東からの移民の増加が大きな問題で、もっと制限をかけないとトラブルが増えると、国民の多くが怒っている。ヒトラー的に、自国の利益優先だと訴えれば、簡単に支持を集められる時代である。

欧州では、ヒトラー的な戦略が必ず有効だと思う。今度はユダヤ人を敵視する必要がないので、米国からの反発は少ない。課題はイスラム問題だから、本当にイスラム圏の人を排除する方向になるかも知れない。イスラム圏に同情してくれる国は、おそらくイスラム諸国だけだ。イスラム側の対抗策はテロしかないので、テロを起こせば、また政権が支持される。

経済的にもそうだ。EUに管理されるのではなく、各国が自国で有利な条件を作らないと、一方的に強大な勢力から利権を奪われ、民衆は底辺でうごめくのみといった事態に陥る。反グローバリズムには根拠がある。人道や美しい理念など、クソッくらえだあ!と、怒るのも無理はない。保護主義の衝動は、当然のものだろう。論客が名演説でもやったら、直ぐに支持が集まり、大きな政治力が生まれる。

欧州と中東の関係が変化しそうな要因が考えにくい。SNSで革命が起こり、政権が変わった国々も、経済が一気に変わったりはしない。経済面は欧州が支配し、中東は苦々しく思う状態が続く。イスラム圏では原理主義が常に優勢になりやすい。したがって、今後は極右政権が長い間、維持されるかも知れない。日本も似たようなものだろう。

日本の場合は反日勢力に、国内の右翼が力づけられる悪循環に陥っている。そして日本の右翼が反日勢力を勢いづかせる傾向もありそうだ。双方がエスカレートして、無駄な論争を起こしている気がしてならない。

トランプ大統領の解説本を読んで思ったが、彼の選挙対策チームは、過去の大統領の選挙対策を入念に学習し、真似るべき点をちゃんと真似て成功している。放言、暴言もちゃんと戦略的にやれば良い効果が得られる。そんな時代になったと彼らは分析しており、そして大成功したと思われる。欧州や日本でも、同様の傾向はあるだろう。中国でこれが現実のものになったら、その悲惨さは想像を絶するものになりそうだ。

 

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