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2017年1月30日

64-ロクヨン-前編/後編(2016)

64

- 奇想天外? -

昭和64年に起こった誘拐事件。時効が間近。県警を長官が視察し、事件の洗い直しが始まる予定だが、県警幹部は反発・・・・

・・・ベストセラー小説の映画化らしい。DVDで鑑賞。まだ新しい作品のはずなのに、すでに7日間借りられるということは、人気がないことを意味しているのかも知れない。原作は読んでいない。また、テレビドラマも作られたそうだが、そちらも観ていない。

作者は元新聞記者だそうだ。そのせいか、威勢の良い記者達が警察を恫喝する様子に迫力があり、リアルな印象。ただし、実際には対応が分かれ、リークなどの取り引きも行われ、持ちつ持たれつ、一部は非難といった複雑な関係が出来上がっているのではなかろうか?

県警が中央からの管理強化を嫌がる点は理解できたが、実際はどうだろうか?県によって県警あがりが本部長になったり、中央から派遣されたり違った人事があるものなのか?劇場主のイメージでは、県の上層部は全て中央からの人間しかいないものと思っていた。そうでないと、現場との馴れ合いが酷くなるはずだ。外部の人間が絶対に必要。

発想が素晴らしく、良く出来たストーリーと感心しながら観ていたが、後半部分は前半と展開が違い、意外な結末を迎える形だった。前半のラストで急展開があったのは、作品を二つに分ける際には良いことだったが、無理な点も感じられた。普通なら、大きな事件が起こったら、情報が署内に拡散するのでは?

舞台となった群馬地方の風習のドンドヤみたいな行事、県境の雪山、河原などの風景も美しく、ロケ地として魅力がある場所と思った。以前の邦画だと、主に東北地方の田舎が舞台になることが多かったが、今回は結構な都会と田舎が混在した場所だった。風景は、この作品には良い効果をもたらしていたようだ。

佐藤浩市が主演だったが、どこか役柄に不釣り合いな印象を感じてしまった。他の俳優達もそうで、新聞記者代表の瑛太は迫力に欠けていたし、部下の綾野剛も個性が不似合いな印象。役に期待される以上の演技力を感じたのは、犠牲者の父親役の永瀬正敏など少数ではなかったろうか?個人的な印象だが・・・

でも全体にまとまりのある作品で、テーマも良かったし、警察内部の事情などがいかにもありそうでリアルな感じだったし、作品全体に高級感がある雰囲気。B級作品では絶対にない。

小説がどうだったは分からないが、映画化する場合は、主役は刑事のコンビにしたほうが良かったかも知れない。まず基本的に警察は個人で勝手に捜査することなどできないので、署内で協力して動く複数の人間がいないとリアルにならない。ひとりのヒーローが犯人逮捕まで持っていくのはおかしい。その点で、無理があった。

おそらく中村トオル演じた管理職か、現場の他の刑事などが主人公に協力し、犯人をあぶり出しつつ、警察の内部の改革を目指すといった方向のほうがいい。一人に焦点をあてて活躍させるのも良いが、スーパーヒーローの物語では、およそ現実味が失われるだけと思う。

協力する仲間がいれば、友情の盛り上がり、あるいは上層部に楯突く際の緊張感といった他の要素が絡んで、話はさらに面白くなると思う。この作品は、それよりも新しい展開による面白さを追求したようだ。その結果、奇想天外なドラマに近づいてしまわなかったか?

さらに思うに、やはり前後編に分けずに、時間を短くして1作品にすべきだったと思った。二作に分けるほどまで、この作品の奥が深いとは残念ながら思えない。よく出来た話だが、120分程度に収まると思う。

 

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