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2016年12月25日

シリーズ・マネー・ワールド(2016) 

- NHKドキュメンタリー その二 -

<システム改革>

金の動きをコントロールする仕組みも、もしかすると画期的な技術かも知れない。資本が容易に集まり、かつ自由度は保たれ、でも暴走せず、破綻や停滞が来にくい仕組みは、正しい理論さえ生まれれば、できそうな気がする。

正しい理論・・・・ただし、そう簡単に生まれるはずはない。共産主義のように世界を支配しかねなかった理論でさえ権威失墜するくらいだから、理論が実地で上手く働くのは簡単じゃない。悪い面の修復を狙って何かルールができても、大企業が米政府を動かして撤廃させようとするから、力で潰されてしまうのが現実。

今日の経済システムは弊害が多く、公平さや秩序を欠いていると思うが、システムさえ変われば、もっと効率的な金の流れができないだろうか?暴走せず、過度に集中せず、弱者にも優しい、そんなのは理想だろうか?

理屈はどうあれ、米政府は米国企業の利益のために動くだろう。軍事力を背景にした力で、他国の政府に圧力をかけるから、米企業の利益に反する改革は難しい。でも今後は中国とのバランスが変化し、あまりに露骨な圧力を米企業がかけられなくなったら、一気に改革が進む可能性もある。逆に中国が破綻したら、酷い結果もありうる。

いっぽう別な問題だが、我々は賭けのテーブルの上で生きているようなもので、資本主義経済は、何かの思惑によって投資がなされることで始まる。思惑が大事で、投資家はそこに賭けている。その金の流れの勢いの中で、我々はおこぼれを頂いているようなものである。もし賭けの邪魔をすると、猛烈な反発を受ける。賭けは、元々そんなものだ。日常のちょっとした賭けでさえ、中断されると怒られるのだから。

新しい試みは誰でもできるが、では現行の体制を止め、新しい経済システムで世界を運営しようとと言ったところで、協賛者はたぶん出てこない。賭けの中断は、怖ろしい反発を生む。賭けを捨てて、財産を擦ったらアホらしいからだ。テーブルについたギャンブラーは、なかなか席から降りないものだ。よって、新規の理論は認められにくい。

それでも、やがては画期的なシステムが登場しうると信じる。ルールを作り、狭い地域で試して成功すれば、他が真似てルールは一般化しうる。上手く行かないのは単純に、ルールが問題なのだと分かる日が来るはずだ。現行の体制とは争うだろうが、方法次第では穏やかな進化も可能ではないか?テーブルを降りたほうが利口と分からせれば良い。

資本主義を進化させた形で、国家のエゴが排除され、グローバル企業の圧力に耐え、人類の持続を確保しうるシステムが誕生し、信頼を得ることができるならば、そこに資金も集まり、金の流れができる。問題をコントロールすることも可能と思う。

<後出しジャンケン法>

租税回避があるかぎり、税制改革の力は大企業には限定的。海外に逃亡されたら、せっかく工夫した税制度も意味を成さない。税収が減って国の財政が厳しくなると、経済破綻の時の緊急対応も難しくなると思うのだが、そこまで気にする必要はないと、大企業は考えるのだろうか。

大企業が国家に替って住民サービスをやれるなら話は別だが、基本として課税権は国家にあり、また今後もあるべきと思う。国家ごとに自国の企業を優遇したいから、国際的な取り決めで税逃れを管理するのは難しい。法人税を下げたい国は、自由に下げさせるしかないだろう。

それなら、タックスヘイブンの利用など、なんらかの税逃れをやった企業、個人に対して、後から新たな税をかけるというアイディアはどうだろうか?「タックスヘイブン税」・・・なんか妙な名前だが、そんな税をかけられるくらいなら、国内で納めようかと考えてくれて、金の流れを正常化することも可能になる。

租税が低い国に申告する場合、総売り上げに対し課税すれば、資産を移すメリットが減る。もちろんタックスヘイブンで成り立っている国の財政も考え、税率は慎重に調整しないといけないだろうが、何も対策をとらないでおけば、財政秩序を悪化させるだけだ。理屈から考えると、タックスヘイブンをやる国は、税を減らされて迷惑する国と、なんらかの条約を締結するべき義務が本来はあるはず。

実際の税逃れは、複雑な手続きをとって分かりにくいものだろう。移住や、資産分与などを介されると、把握するのは難しい。しつこく調査して、後になってカラクリが判明するのがせいぜいだろう。したがって、課税する場合は、微妙な点が実は違法だったのだと、後日の判断が必要になってしまう。後出しジャンケンのように。

後出しはずるい、憲法違反だと反論されるだろうから、正面切っての実現は厳しいだろうが、少なくともそのセンスは必要と思う。先取りして、「今後、後出しで課税する予定なので、自主規制してください。」・・・そんな脅しも有効ではないかと思う。財務省の高官が、そのように考えているらしい・・・・そんな情報だけでも有効だ。

いろいろ後出して、「天下り税」「原発事故処理目的税」など、どうだろうか?反発は喰らうが、予算は確保できる。今の時代は、予算確保が最優先課題。財政破綻したら反発もへったくれもない。法の不備をついて過剰な利益を得る人、無責任な人に、後から怖ろしい税がかかるならと、阻止効果があるように思う。

<TPP>

日本の場合、TPPの影響も懸念材料。どんな密約が交わされているのか分からないので、影響もよく分からないところが怖い。TPPへの参加で、GDPがこれだけ伸びるといった試算が発表されるが、根拠の薄い数字だと思う。ほとんど指標がないまま、運任せで参入しようという今の情勢には危機感を覚える。

トランプ政権の間は、おそらくTPPが発動する可能性はないはず。でも、おそらく次の政権は正反対の立場を採るだろう。その時が問題になる。

仮に何か良い税制、規律を日本が開発しても、おそらく不利益を被る米国の企業が許さない。米国政府を動かして、圧力をかけてくる。噂によれば、裁判は米国の裁判所でやって良いという。嘘みたいな話。普通は第三国でしょうが!

TPPの理念は、新資本主義の時代の名残りを感じさせる。単純に言えばグローバルなのは良いことという認識が、その根幹を成しているように感じるのだが、害もグローバルに生じるはず。害を防御する仕組みを確保しないといけない。

各地域の住民が、独自の政策を持つ権利を有しないと、その地域が経済的に破綻する危険性がある。破綻を補償する規定があるのだろうか?あるとすれば、おそらくTPPはコスト的に無駄も多いことになり、規定がないとすれば、危機管理のできない浅はかな仕組みと考えられる。

<トランプ>

国家の体制と資本主義のシステムが、理論的に反することが明らかになりつつある。トランプ政権は、おそらく国家の管理を維持することにこだわった人達が成立させたものだろう。しかし、新政権の首脳はグローバル企業のCEOが占めている。嘘くさい出だしになりそうだ。

米国第一と言いつつ、大企業優先に動くぞと宣言したかのような人事ではないか?上手な宣伝文句に騙されて、しばらくは国民も支持するかも知れないが、CEO達がヘマをしたら、きっと本性に気づくだろう。無理に強硬な態度に出て、国民の目をそらそうとしないか、そこが心配。

 

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