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2016年12月13日

戦艦バウンティ号の叛乱(1935)

Mgm

- 規律の重要性 -

パンノキ収集を目的にタヒチに向かったイギリス船。船長の暴虐に腹を立てた船員達は叛乱を起こす。しかし、船長はしぶとかった・・・・

・・・・第8回のアカデミー賞を取っている作品。古い映画だが、技術的に高度なものを感じた。当時としては、かなり金をかけたロケ、映像の合成をやったに違いない。船の実物をどうやって調達したのだろうか? 暗い屋内のシーンも、よく写っていた。

主役はクラーク・ゲーブルだろうが、最も重要だったのは悪役のチャールズ・ロートン。30代で出演しているはずなのだが、メーキャップ効果で60代にしか見えない。悪役が素晴らしかったので、映画も出来が良かったと思う。

今日でも鑑賞できそうなレベルの劇と思う。したがって、当時は斬新に思えたのではなかろうか?同じ時期の作品には、あまりにも古い演出が目立って鑑賞に堪えられないものも多い。センスの良い演出、編集、そして当時最新の映像技術が使われたのだろう。

よく出来た映画と思うのだが、今の人達に話として非常に面白いとは思えない。CGがないから今の子供達が楽しめる内容とも思えないし、恋人と観る場合も、さすがに古さが目立つのではなかろうか?恋の表現方法が古い。やはり、クラシック映画好きな人間でないと、この種の作品が支持されるには無理があるだろう。

英国海軍の話が、なぜハリウッドで映画化されたのか?その点が疑問。軍隊内部では今でも懲罰めいた特訓があるだろうから、大戦前の時代では軍隊内部の無茶なルールに警鐘を鳴らす意図があった可能性もある。あるいは、遠い異国の地での冒険話は、海賊物語と同じようなエキゾチックな魅力に満ちるという感覚があったのか?

反乱側の冒険を重視して描かれたようには感じなかった。暴虐に耐えきれないことや、人間性を重視した結果の反乱という表現ではあったが、アウトローを礼賛するほどの描き方ではなかった。当時としては、これが限界だったのだろうか?時代のことを考えると、あるいは一種の「蟹工船・英国版」といった階級闘争、反体制のセンスが根底に流れているのだろうか?

横暴な上司に関連して・・・・・最近、パク・クネ韓国大統領が辞意を表明した。本人はどうか分からないが、友人が横暴な人だったらしい。

スキャンダルで大規模なデモが起こっており、誰も支持してくれない状況だったから諦めたことと、本格的な弾劾手続きを回避したい意図があったと報じられている。パク大統領本人は、特に蓄財に励んだりはしていなかったようだが、取り巻き連中が権威を笠に着て、情報や金を集めていたのは事実らしい。

映画のほうの船長の権威は、イギリス海軍の権威である。規則があるから、忍従しないといけない。そして実際に有能な航海能力があること、過去の実績なども重要な権威の要素だったと思う。パク・クネ氏の場合は、大統領の職と父親の代からの名声であろうか?現職の大統領というだけで、権威は充分にあるものだろうが、失敗も多かったので、今回の件を乗り越えることはできなかったようだ。

船長の場合は第一士官の反逆、大統領の場合は与党の非主流派が反旗を翻したことが失敗の大きな要素だった。反乱は近い者から起こるものらしい。自分らが道連れになって沈むのが怖くなると、近い人から裏切りが生まれやすくなるもののようだ。

支持者に囲まれた状態なら、たとえ大規模なデモが起こっても、意気消沈することはないかも知れない。日本の首相もたびたび支持率が低い状態になっていたが、与党内部が強固な状態なら、延命はできる。おそらく、船長も士官達だけはしっかり味方にしておかないといけなかったのだろう。部下に心遣いは必要だから信賞必罰、優れた仕事には敬意を表し、恐怖のみに手段が偏らないように注意しないといけない。

部下の選択は重要。下層の人間のことより、自分の命令を大事にするような人物を重用し、人間性を重視する人物を排除する必要がある。残酷な罰で部下を従わせることも厭わないほうがスムーズに行く。そんな仕打ちを、劇場主も受けてきた。自分の保身のみを考えるなら、そんな風に考えるべきではなかろうかと思うものの、劇場主はやりたくない。自分の精神に良くないからだ。

人間性を重視する人の場合は、船長のような運営方法は最初からできない。集団の利益を優先する場合も、船長とは手法が違うと感じるはず。おそらく、もっぱら恐怖を管理の手段としていると、そうやっている自分に耐えきれず、精神が破綻してしまうだろう。職務の性格に応じて、規律第一か人間性重視か選ぶべきだろうと思う。

私のような中小企業主なら、人間性優先でも仕事を維持できる。だから、そうしたい。一国の大統領の場合、責任が非常に重いから、人間性よりも国家の維持発展を第一に考えないといけない場合が多いのかも知れない。規律第一、命令と法律の実行を徹底することが基本方針になる。大統領自身も規律に縛られてないと、行動の根拠が失われると考える。

船長は、自分のフトコロに船の物資を入れていたようだ。しかも、それを部下のせいにしようとしていた。その点が、反乱の原因のひとつにもなっていた。トップの人間は、ちょっとしたワイロ、贈答品のやりとりにも神経質になるべきなのに・・・

パク大統領の場合、強固な取り巻き補佐官を重用したことは、間違いではなかったろう。そこからの裏切りはなかったようだ。でも、そこで守られているからといって、国家機密の保持を適当に考えてはいけない。資格のない人物に機密を見せることは、たとえ誰も見ていない状態でも許されない。最低限の規律のセンスが足りていなかったようだ。

 

 

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