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2016年11月 4日

チェーン・リアクション(1996)

20cfox

- エネルギー問題 -

シカゴ大学で新しいエネルギー開発に成功した主人公。しかし、謎の組織によって実験室は爆破され、主人公が犯人としてFBIに追われることになる・・・

・・・懐かしい映画。9月20日、衛星放送で鑑賞。たしか前回も衛星放送で観た記憶がある。20年前の作品だが人気があるのか、まだあまり古くなっていない気がする。この作品では血まみれ死体は出てこない。殺しのシーンも表現は大人しく、子供でもかろうじて鑑賞させられそうな印象。家族で楽しめるレベルの、娯楽の条件を守っているようだ。

キアヌ・リーブスは当時のSF映画の常連で、ヒーロー役を代表する役者だった。彼の場合、腕力で一気に事を決するタイプでなく、弱いし脅迫されながら徐々に劣勢を挽回し、最後に勝利するのがパターン。今回もそんな役どころで、キャスティング的にも最適だった。

ただし、いつも思うのだが、彼は走るのが苦手なようで、この作品で何度も逃走している際に、どう見ても捕まらないとおかしいほど動きが遅く、足取りも鈍い。アクションシーンでの迫力には欠けていると思う。もしかすると、もっと動きが良い、華奢なタイプの恐怖感が表情に上手く出るタイプの役者のほうが良かったかも。そんな役者には、今でも需要があるのではないか?

ヒロインはレイチェル・ワイズだったが、個性が生きていない気がする。この作品ではラブ・シーンがほとんどない。ヒロインとしての活躍は、補助的に敵を殴ることぐらい。やや演出不足ではなかったろうか?監督が、彼女にあまり興味がなかったのかも知れない。

ダーク・ヒーロー、もしくは敵役としてモーガン・フリーマンが活躍していた。彼の存在が、この作品では一番大事だったと思う。全くの悪人、自己の利益しか考えず、膨大な資産を有し、権力欲をも満たしている、そんな敵でなかったことが、作品のレベルを上げていたように思う。彼がラストで施設のドアのロックを外すか否かで、主人公達の運命は決まることになる。そこを、もっと強調して描くこともできたのではないだろうかと、少し残念に思えた。あまりにサラリとした表現だった。

エネルギー、特に石油の問題は大きい。いまだに石油価格の変動によって、世界的に財政や政策全般への影響が起こる。サウジでさえも国家予算の余裕が失われつつあると報道されているし、ソ連が北方領土交渉を匂わせるのも、石油からの収入が減ったことが影響しているはず。石油以外のエネルギー源は、はたして出てくるのだろうか?

作品の中でも語られていたが、もし新しい発電技術が開発されたら、株価には大変動が起こるだろう。あおりを喰らって倒産する企業、急成長する企業が入り乱れ、殺し合いや自殺、戦争だって起こる可能性はある。でも、気候への影響を考えると、やはり地下資源を燃やす今の方法は、やがては減らさないといけないだろう。

日本では、藻を使って油を作る研究が進んでいる。コストを下げれば、おそらく実用も可能のはず。もし石油に近い価格になりそうになったら、石油関係の権利者は黙って観ているだろうか?おそらく米国政府を動かし、日本政府に開発予算削減を要求するだろう。断れば、他の分野の貿易を制限してくるはず。その間に、自国で藻を増やす努力をすることも確実。

そんな交渉、圧力、懸命な開発の努力、営業努力が展開され、もしかすると本当にエネルギー革命が起こるのかも知れない。新たな秩序が生まれるだろう。資源大国の力は相対的に低下し、石油をめぐる戦争は減る。原発を減らせるかも知れない。

中東に欧米が関わる理由が減る。すると、イスラエルの危険が増してくるかも知れない。それが火種になる可能性もある。またはイスラム諸国の存在価値が下がり、国力も低下してイスラエルとの共存を目指さざるをえなくなる可能性もある。戦う余裕さえなくなるか、もしくは民衆の力が増して、クーデターによって宗教的過激派が力を増すか、いろんな道が考えられる。

エネルギーへの不安が減ると、金属や何か他の資源が石油に代わって相対的な価値を高め、あらたな戦争原因が発生しそうな気もする。石油の心配がなくなれば、中国はより高圧的な態度に出ることも可能になる。人類のための努力が、意外な展開で逆に紛争の原因になるなら、新エネルギーの管理はよく考え、充分に計画的にやらないといけないはず。

燃料の心配がない、よっしゃあ軍艦をたくさん作って世界制覇しよう!といった無茶な考えを、旧日本軍の生き残りみたいな連中がやらないと良いが、主人公はそのへんを全く気にしていなかったようだ・・・

 

 

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