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2016年11月13日

パットン大戦車軍団(1970)

Patton


- 暴言 -

生粋の軍人パットンは北アフリカに赴き、現地の部隊を鍛え上げ、ドイツ軍を敗走させる。しかし、彼の言動が問題になり、左遷の憂き目に遭う・・・・

・・・・11月1日、衛星放送で鑑賞。激しい性格のパットンの、その生きざまを非常に強烈に描いた作品。ちゃんと史実を踏まえた話らしいのだが、娯楽的になるようにドラマ仕立てで展開する。大戦時期の生存者が多かった時代なら、この作品は自分達の時代の話として興味深いものだったろうと思う。でも、今日的には興味をそそられる内容とは思えない。家族で楽しめる内容とも思えない。

ギリシアあたりの演劇のように、冒頭で星条旗をバックに登場するパットンが格好良い。実際の訓示でも、役者がかった話し方をする人は多いが、特に軍隊の指揮官の場合はその傾向が強いだろう。話の内容、話し方に個性がよく出ていた。あの始まり方も秀逸だ。

強烈な個性の主人公は有名だったらしいから、映画化したいという動きは昔からあったようだ。作品になるまでに20年以上経っているのは、家族が嫌がったかららしい。確かに、ほとんど狂ったかのように戦場を好む性格は、ギャンブラーに通じる病的な面を感じる。

仮に本当に病気だとしても、その個性が生かされる場合はある。第二次大戦の場合、パットンのような軍人は最高の活躍を狙える場所だった。同じ戦争でも、ベトナムやイラクでは戦い方が違う。もしドイツ軍がゲリラ戦法で戦うなら、連合軍をもっと苦しめることもできたろう。大兵力の激突タイプの戦場なら、パットンは得意のはず。

「地上より永遠に」などの作品を観ると、米軍内部でも激しいイビリ行為があったらしい。昨今では、多くの女性兵士が襲われていると言う。殺気立つ組織では、規律は維持されにくいものだ。正当な指示なのか感情的な命令なのか、分かりにくい場合も多いと思う。

劇場主は中学時代に、上級生から理不尽なイビリを受けたが、彼らはどんな精神で、下級生いびりをやっていたのだろうか?本当のところは理解できなかった。

おそらくパットンは、理不尽なほどの訓練をやったに違いない。パットンの頭の中も分からないのだが、戦場においては、激しい訓練も必要だろう。耐えられないと大勢が命を失う。ただし、彼の指揮下にいた場合、兵士としては苦労し、生存確率も低めだったかも知れない。直感的なセンスに優れた有能な戦略家、勇気あふれる軍人だったようだが、かなり無謀だったとも思える。

パットンは、カエサルのような偉人と同じような気分でいたのではないか?そのような気分にいれば、マイナス思考をしないので、能力を充分に発揮し、戦勝を得る可能性が高まる。ただ、同じような感覚の軍人は各国どこでもいたはずで、相手だって同じだったかも知れないから、負けるときは当然負けるわけだし、戦績は運に左右されたケースも多いと思う。

それにパットンの場合、アイゼンハワーと知古でなかったら、左遷されて終わりだったかも。ただの暴言軍人で、名を残さなかった可能性が高い。運は大事だった。

さて暴言と言えば、次のアメリカ大統領がトランプ氏に決まった。五分五分の戦いと言われていたが、米国民の感覚は違っていたようだ。暴言を繰り返し、税金逃れをやっていても、今の政策を変えるべきと判断している。政権が交互に来ることは、権力が固定化しない点では良いこと。日本も、少しは考えたほうが良い。

ただ、米国民が真に深く考えていたのかは分からない。確実なのは、米国民のかなりの人が現状に耐えられない状態だったようだ。暴言やスキャンダルがあっても、現状を変えること、富の分配、職を確保するという基本的な利益を優先したのだろうと思う。とにかく政権交代が最優先だったからヒラリーだけは嫌だったはず。

選挙戦略として激しいアジテーションを採用した点は、優れた判断だと思う。注目を集め、期待させることは、選挙を戦う上で必要。しかし、それはヒトラーだってそうだった。ポピュリズムに近い、あざとさを感じる。

日本の選挙と同じように、テレビタレントが有利になった結果と言えるかも知れない。テレビの毒舌タレントは、毅然として誇り高い印象を人に与えるし、スキャンダルがあろうと悪いイメージにつながりにくい傾向がある。テレビで繰り返し親しんだ人物には、投票しやすいのだ。

優れた選挙戦略を採ったから、優れた政治判断をできるとは言えない。酷い結果を招くかも知れない。特に政権運営が長期になると、主張の一貫性は問題になる。選挙中の言動は記録に残っているから、やがて嘘つきと批判され、短命に終わる運命かも知れない。

白人中間層の利益を確保することは、候補者全員の公約だったと思う。ヒラリー候補だって、その必要性を認めていたはず。でも、資産家から寄付を集めていたら、イメージ的に嘘くさくなってしまう。ヒラリー氏は、その点で間違った戦略を採ったことになる。しかし、資金なしではサンダース氏に勝てなかった可能性が高い。最初から厳しい選挙戦だったわけだ。

 

 

 

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