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2016年10月 5日

チャッピー(2015)

Sony_columbia


- 斬新? -

ヨハネスブルグに導入された警察ロボットの一体が主人公。彼を改良した技師と、ライバルの技師、犯罪者達が彼をめぐってバトルを繰り広げる・・・

・・・・DVDで鑑賞。「第9地区」のブロムカンプ監督が、同じような発想、同じような画像技術で作った作品。なぜかメジャーな興業はされなかったようで、宣伝を見た記憶はなかった。ビデオ専用のような扱いだったのだろう。でも、駄作とは思えなかった。

新しいアイディアがなかったとは感じる。ストーリーは過去のSF映画に何度も使われたパターンで、しかし「ロボコップ」ほどの悲壮感、皮肉はないし、「リアル・スティール」のような明快さもない。何かの工夫が足りなかったと思う。

ストーリーテラーを変える手はあったかも知れない。犯罪者に物語を語らせると、もっとアクの強い魅力ある作品になったかも知れない。倫理上の問題は発生するだろうけど。

会社内部でのライバル争い、犯罪者同士の争いなど、途中がかなり複雑な展開だった点は良かったと思う。ただ、ヒュー・ジャックマンがライバル技術者を演じていたが、彼ではなく、一発で嫌悪感を感じられるような俳優のほうが、あの役には向いていたと思う。あの人物のキャラクター、彼のキャスティングが、この作品の一番の間違いではなかったかと思った。

作品の色づけにも問題あり。「第9地区」のようなゲテモノ、アングラの雰囲気が薄れ、ウリになる個性に欠けている。SONY、コロンビアが作った映画だから、毒に満ちた作品には最初からできなかったのかも知れない。この作品は興業的には一応のヒットをしたようだから、路線としては成功だったのかも知れないが、直ぐに消えてしまうような個性しかない点は、少し残念に思う。

人の意識とは?という問題が、あまりに軽く扱われていたように感じた。意識は、おそらく脳細胞のネットワーク、神経伝達物質の分泌の状況、伝達の活動性や活動パターンによって作られていると思う。短時間でネットワークの状態を再現することは、電子回路の能力から考えて無理があるだろう。

ただし、おおまかに似せて再現することは可能かも知れない。感情を、そのまま人間のようなものとして記録することは難しいとしても、感情が大きく働いた時に代表する特徴を細かく分析し、その組み合わせを様々に構築すれば、かなりの種類で表情や身振りとして表現できるかも知れない。

人間本人が自覚していないような感情、表面上は忘れたような深在性の感情、古い記憶や情動に関係するような深い感覚は、表面の感情とどのように干渉させたら良いのか分からないが、これも近似させることはできるだろう。深い情動部分の回路と、新らしい情報処理の回路を干渉させることができれば、人間の脳に近づく。

機械だから、人間とは違った反応をやってしまうと思う。しかしおそらく人間だって、思わず妙な事をやったり、余計なことを口走って、瞬時にしまったあ~と思う間違いを犯すことは多いから、それを記憶し、その後は少し修正していく作業を繰り返せば、失敗の記憶も含めた感情表現も可能になるはず。

今後、本当に作られるであろう人工知能は、おそらく最初から完全に人間くさい機能には至らないはず。それで充分と思う。何回かの技術的、理論的なブレイクスルーを経て、運転だけはミスしない、あるいはフロント業務が上手いといったロボットができてくると思う。

 

 

 

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