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2016年9月17日

マイ・ファニー・レディ(2014)

Shesfunnythatway

- 映画通的発想 -

新進女優がインタビューを受ける形式で、舞台監督、役者、コールガール、客、恋人、奥さん連中が入り乱れるバトルを描いた作品。ボグダノビッチが監督していた。DVDで鑑賞。ビデオ屋に置かれていた棚での扱いは控えめだった。タイトルも興味を惹くものではないと思う。でも、非常に面白い喜劇。

ヒロインのイモージェン・プーツという女優さんが素晴らしかった。意味ありげな目配せを多用した表情が、いかにも過去にコールガール業をやっていた雰囲気を出して、かなり嘘っぽく、しかも完全なプロではない素人っぽさを自然に表現して、大変に魅力的だった。彼女の過去の出演作を観た記憶がなかったが、どこかで観たような印象もあり、そう感じたのは過去にコールガールを演じた他の女優達の表現を、彼女が参考にしていたせいかも知れない。

目くばせが大事だったようだ。そこを考えると、アマンダ・サイフリッドなども、この役に向いていたかも知れない。目の表情が生きてくるはずだ。彼女ならネーム・バリューでもっと作品が売れたかも知れない。あるいはもっと大物の、大御所的な女優でも良いかも。本当に過去が怪しそうな女優はいかがか?

中心となる人物は、オーウェン・ウィルソンが演じていた。この種の作品の、困り者の役には彼が最高だ。彼の役は監督の分身かも知れない。実体験がヒントになったという噂みたいな話もある。シャルル・ボワイエが映画で使った古いジョークをヒントにしていたが、あのアイディアも良かった。あれも実体験かも知れない。あんなセリフは、映画通が使いそうだ。

ジェニファー・アニストンという女優さんの魅力は、今まであまりピンと来ていなかったが、この作品での彼女は素晴らしい。一種の嫌われ役的な個性だが、表情を大きく変えずに演じた関係か、とても自然に思えた。自然だと笑いにつながる。無理なオーバーアクションだと、シラケにつながる。加減が素晴らしかった。

作品の着想は素晴らしかったが、登場人物が多すぎた印象もある。客である判事は電話の声だけではいけなかったか?繰り返し電話してくると笑える。私立探偵の老人も、必要性が薄かったように思う。ヒロインの両親も、声だけの出演で構わないはず。無駄に人を増やすと、ドタバタ劇として格を下げる面がある。収拾不能な状態を笑う意図から考えれば悪いことではないとしても、冷める観客が必ずいるだろう。

特に今回はインタビュー形式を進行の中心にしている。そこに、ドタバタ映画の様式を盛り込むと、観客の頭の中に混乱を生じるかも知れない。流れは大事である。三谷幸喜監督の作品にも多数の人物がドタバタするものが多いが、観客の疲れにつながりやすい点で、同じような危険性を持つかも知れない。

この作品は基本が色っぽい話なので、子供には向かない。家族での鑑賞は、多少マズイ内容。恋人との鑑賞には向いていると思う。爆笑に至れるかどうかは保証できないが、皆でワイワイ観るような状況なら、この作品はアクの少ない上質さを持つから、最適かも知れない。一人より、複数の人と観たほうが良い作品。

 

 

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