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2016年8月15日

日本会議の研究(2016)・その一

- 扶桑社・菅野完 -

新書コーナーの売れ筋上位に置かれていたので購読。日本会議については、全くの前知識なしだった。記載されたデータの信用性は確認しようがないものの、この本は資料を入念に集め、裏付けを取るように努力した力作であると感じた。かっての田中角栄研究と似ている。内容に偏見が入っている可能性はあるとしても、真実に近い部分は多いだろう。

ただし、日本会議側は、この本には虚偽の内容が多いなどと批判しているそうで、訴訟沙汰に発展する可能性もある。今後の経緯次第では、本の紹介をした文章にも問題なしとは言えないかも知れない。もし著作側が敗訴したら、この文章全体を嘘に踊らされた内容として忘れていただきたい。

かって石破氏が自民党総裁になれなかった時、妙な水面下の交渉の存在が感じられたが、あれは非常に怪しい動きだった。米国の意志か、もしくは何かの宗教か政治団体がらみかと疑ったが、正体は分からない。憶測に過ぎないのだが、その後の状況を見ていると、日本会議が関与していても不思議ではない。

さて、日本会議を宗教団体と認識すべきか、右翼団体と括るべきか、その点は本を読んだ後でも分からない。おそらく、多様な団体の集合体で、意見も様々で一括りにできないのではなかろうか?構成する各団体が、一致団結して動くのは難しいと思う。

戦後は政教分離が原則となったので、今の宗教団体は教団を名乗らない傾向がある。○×学会、◇×会議など、学術団体と区別が付きにくいように、おそらく意図的に工夫している。宗教をそのまま名乗るのは、昔からの名門宗派か、もしくは税制上の理由から宗教法人と言いたい営利団体くらいか?そのため、右翼も純粋な神社関係団体も、区別がつきにくい。

実質が宗教法人であるなら、政治に関与しないのが現行憲法上では当然のはず。ところが、与党がそもそも宗教団体と密接な関係にあり、規定を無視してしまっている。いびつな構造だ。政教分離は事実上破綻しており、おそらく司法や検察、某国情報機関との間でどのようにか‘手打ち’が成立したのだろう。憲法の番人であるべき存在は、その仕事を放棄したのか?

こんなこと気にしても仕方ないのだろうか?政界、法曹界には、矜恃の観念など元々ないのかも知れない。一般人なら仕方ないと思うが、国の中心が法の精神を曲げるようでは、やがて後悔することになるはずだが・・・・しかし、組織が理念によって成り立つのは理想に過ぎず、力関係や利害調整、出世欲などによって運営方針が決まるのは、どの世界でも似たようなもの。腐敗は免れえない。

ただし言えることは、偏った政治信条の圧力に安易に乗ったらどうなるか、歴史をみれば明らかだ。どこの国も宗教や主義の熱狂で、凄い数の人を殺してきた。法を遵守する必要性を認識していないと危ない。「あいつらは強硬だから仕方ない、法を曲げて言うことを聞いとこう・・・」 そんな判断が現実的だと思っていると、ずっと後になって抜き差しならぬ状況に陥るかも知れない。

この本の分析の通りだと、今の状況が変わる可能性は低い。宗教や政治信条の意味など、普通の人間は考えたがらない。選挙となれば、身近な利害関係でしか投票しないから、長期的な展望が効かない。かってナチスが投票で選ばれたのは、民主的な選挙によるというが、あのようなことも繰り返されるだろう。 隠れた支配権を確立している勢力は、よほどなことがない限り、勢力が衰えるとは考えにくい。

右翼団体に、かって意義はあったと思う。もし左翼が幅を効かせたままだったら、国は米国との関係を維持できず、国土が戦場になっていた可能性もある。そうでなくても、テロや暴力沙汰の応酬は続いていたかも知れない。政治的な面に多くの国民がシラけたのは、左翼が自滅した部分が大きいが、右翼のおかげもあったと思う。赤軍派みたいな連中が国を支配したら、いまごろ大変だったろう。

でも今日は、左翼勢力が幅を効かす時代ではなく、完全に逆。ネット右翼のような勢力が、国益を侵害しないかと危惧される時代。どんな信条の人でも、国益優先で行動して欲しいものだが、自称愛国者たちの自己実現欲や権力欲は、国益よりもずっと優先される傾向がある。いかなる団体も純粋な心だけでは成立しないので、それは自然のこと。

歴史に鑑みて、劇場主は政経分離の方針に賛成する。神道を利用して権力を持ち、国を危険にさらした勢力が存在したことは確か。これは米国や中国に強調されるまでもなく、否定し難い史実だろう。宗教が害悪だなどとは思わないが、個人の野心がからむと、とんでもない結果につながる場合があると思う。

そんなことを気にさせる本であった。

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