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2016年7月10日

禁じられた遊び(1952)

Jeuxinterdits

- EU離脱 -

ドイツ軍の攻撃により孤児になった少女は、少年に連れられ農家で暮らすことになる。そこでお墓を作る遊びを覚えたが・・・・

・・・・ルネ・クレマン監督作品。DVDで鑑賞。画質や音質は良好で、おそらくリマスタリング処理されたものだろう。暗い部屋のシーンでも、よく写っていた。

もしかすると、実話からアイディアを得たのかも知れないと感じた。いかにも子供がやりそうな悪戯で、実際のところ、我が家の近所のお婆ちゃんが、子供の頃に墓石で遊んで墓を荒らし、それでもバチなど当たらず、長生きできたという話を聞いたことがある。おそらく、欧米の子供は十字架で遊ぶだろう。

遊ぶ子供達の境遇が問題になる。小説や映画の題材になるためには、時代を反映していないといけない。終戦後間もない時代だと、こんなストーリーが自然に出来上がってしまうだろう。今の時代はかなり状況が違う。シリア難民などが主人公になって、とても怖ろしいストーリー展開になりそうな気がする。

ドイツ軍が本当に避難者を襲ったりしたのだろうか?ドイツだって、戦略を無視した行動はできなかったろう。主に軍事拠点をたたいたはず。大事な橋を壊したり、工業拠点をたたいたりも、必要があればやったと思うが、避難民を攻撃しても、費用と時間の無駄だと分かっていたはずと思う。どこの国にも、非道な連中は多いはずだが、避難民への攻撃がどの程度あったことなのか、疑問には思った。

ヒロインの少女がとてつもなく可愛らしく、演技力も充分。実に自然な印象だった。彼女の可愛らしさと演技で、この作品の成功は決まったと思う。後年、「ニューシネマ・パラダイス」に出演した姿にはがっかりしてしまったが、小さい頃は本当に可憐そのもの。そして彼女以外にも、役者らしい役者が多数出ていた。

農家の父親役も面白い。大事なミサをほったらかしにしたまま、霊柩用の荷台を懸命に修理している姿がおかしい。セリフも表情も、農家の人間がしそうなリアリティが感じられた。

役者達の顔や周囲に、ハエが多数たかっていた。あれもリアリティを出すために、そこいら中にハエを放したか、役者に何か塗ったのだろう。田舎の住民を自然に描くために、できる工夫をちゃんとやっていたようだ。今なら、CGでもやれるだろうから、当時の役者のような臭い思いは必要ないだろうけど。

大戦中のフランスの雰囲気は、こんな風だったのだろうか?脱走兵がもしいたら、日本の農村なら大変な騒ぎになったはずだ。住民達も罪を問われかねないから、はやく密告しろ!と、いろんな家から警察に御注進が行くだろう。脱走兵をかくまうなど、ありえない。フランスには余裕があったということか?全体主義かどうかの違いか?

現地の感覚について言えば、欧州のことは日本人では分からない。基本的な資本の蓄積、保有する利権などが全く違うから、考えることも違うだろう。全体主義になる必要のないほど資産豊富な国は、国民を縛る必要がない。今のEUの問題も、よく分からない。イギリスは、なぜEUを離脱するのだろうか?

利権が多ければ、独自の方針でやっていけたほうが絶対に有利だと思う。大英帝国の遺産は大きいから、EUの側から指図されて何かを決定されると、損失があるのかも知れない。英連邦や東アジアとの関係のほうが大事なのか?守るものが多ければ、守れるように体制を維持し、余計な干渉は避けたい。

移民の管理に関しては、たしかに独立していたほうが良いかも知れない。域内の移動が自由のままだと、犯罪者やテロリスト達の行動を把握するのは難しい。国境の管理を破棄したために犯罪者の餌食になるという点で、現在のEUの方針が域内を危険にさらしているのも事実と言えるだろう。EUの方針を変えられないなら、いっそ離脱するのが安全、そう感じても不思議ではない。

安全は大事だ。うかうかしていると、いかに優秀な英国情報部でも管理できないほど、過激派が浸透してくるかも知れない。経済的な有利を差し置いても、テロを避ける意味はある。

しかし、離脱の方向は、将来に大きな遺恨を残す気がする。英国の政策は日本より伝統的に優れているが、間違いがなかったわけじゃない。中東問題を複雑化したのは英国だし、ブロック経済を作って大戦を招いたのも英国だ。今後の分離、隔離、民族対立、地域対立の方向性に傾いていかないか心配だ。そして思わぬ形で、世界中に対立の火種が拡散しないか、悪い予感がはたらく。

禁じられた遊びのような世界が、またどこかで発生しないと良いけど・・・

 

 

 

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