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2016年3月31日

チャイルド44 森に消えた子供たち(2015)

Summitlionzgate


- ユーモア不足  -

ソ連時代の猟奇的殺人事件をめぐり、担当する捜査官とその妻達が経験する試練、そして当時のソ連社会を描いた作品。

DVDで鑑賞。興行的には惨敗した作品らしい。確かに舞台が旧ソ連で、しかも陽気な活劇が全くなく、陰惨で執拗な対決ばかりが続く映画に、多くの観客は耐えてはくれないだろう。

この作品は、その面で最初から限界があった。

原作小説があって、日本でもかなり評判だったらしい。小説を読まない劇場主はさっぱり気にかけていなかったのだが、本屋大賞か何かの賞を取ったそうだ。確かに、この作品の構成力、ストーリーや設定の重さは、レベルの高い原作を想像させる。

最後まで緊迫感を感じながら観ることができた。武器も旧式、派手なアクションで空を飛んだりもないのに、主人公夫婦が体験する恐怖が上手く表現できていたし、二人の間の感情も実感のある、切実なものだと思えた。

ただし、そんな面については万人受けする魅力にはなりえない。若い観客は実感したことがない感情だろうし、旧ソ連の秘密警察は興味の対象外だろうから、基本として若者には受けない作品と思える。子供も同様だろう、。したがって、家族で楽しめる映画では全くない。

もし可能なら、少しユーモアが感じられるシーンがあっても良かったかも。いかに厳しい管理社会だったとしても、そこに住む人々はそれなりの楽しみを見いだし、ジョークだって言っていたはず。ちょっとした笑いを挿入することで、観客の気分をほぐすことだってできるだろうし、怖いシーンがかえって怖くなる効果もあるだろう。

旧ソ連の社会は、想像するに過ぎないのだが、おそらく監視の厳重な管理社会だったと思う。民主的な曖昧さを除かないと社会が不安定化するという理由で、強力な弾圧、強権的な意志決定が日常茶飯事だったように思う。もちろん、これは米国側の宣伝によるイメージだけの、おおいなる勘違いの可能性もあるけど。

今でも、強権的な政治体制の国は多い。現ロシヤも、中国大陸の某大国もそうだろう。強い権力を用いることで、急速な経済発展や社会の安定を維持できる点は疑いない。しかし、官僚的な社会体制の弊害が必ずついてくる。この作品は、その点を見事に描いていたと思う。

 

 

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