映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主


Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 小泉総理談話(2015) | トップページ | 殺し屋チャーリーと6人の悪党(2014) »

2016年3月13日

自虐の詩(2007)

Shochiku

- 不適切な人間関係  -

ラーメン屋の店員を務めながら、ヒモ男と暮らす女が主人公。何か気に入らないと直ぐちゃぶ台をひっくり返す男と、なぜか女は暮らすのであった・・・・

・・・・DVDで鑑賞。原作は漫画雑誌で何度か読んだことがあった。人物設定が絶妙で、いかにも実在しそうで、特徴をよく分析した登場人物達が、悲惨でこっけいな微妙なラインで関わる点がおかしかった。傑作なエピソードが繰り返し描かれていたので、アイディアの素晴らしさに感心していた。その路線を映画でも概ね踏襲しているようだ。

どのように踏襲するかが難しい点。漫画の場合は数コマだけだから、同じ路線を延々と続けたって構わない。でも、映画の場合は物語が進行しないといけないから、ギャグばかりではいけない。無理に事故などのエピソードを作る必要がある。そこの加減が難しいと思った。

水商売などで働きながら、ヤクザか半グレか分らないような人物と同棲している女が今でもいるらしい。知った人はいないので詳しくは分らないが、ドラマなどでは決まって酷い生活ぶりを強調され、よく殺される役回り。そのイメージを徹底追及すると、愛おしいような感情が生まれる。バカな女だねえ、誰かマトモな人を探せよと、どこか愛おしく、共感したい・・・そんな感情が生まれる。

劇場主の感覚では、こんな女性は細身である傾向が強い。太った水商売女もいるにはいるが、そんな女は男と喧嘩してしまい、関係を維持できない傾向があるように思う。勝手な思い込みかも知れない。関係が続くためには、滅多に対決しない従順な性格が基本。体力なさそうで、うつむき加減で、目線も上目使いの傾向があると思う。

主演の中谷美紀は、役柄に合っていたのか分らなかった。厳しい目線の奥方役が彼女の本領で、強い女が役柄の基本と思う。特に目線が少しまともすぎた印象。この役柄には、もっと本当に不幸イメージがよく似合う、メロドラマ専門の女優が最適だったのでは?演技力でカバーしきれない、不幸な匂いが欲しかったと思う。

ヒモ役の阿部寛は、大柄で体力がありそうな点は良かったが、本当のグレ男に特有の、無茶なセンスはあまり感じられなかった。これも演技力でカバーできない、本来の雰囲気が違っていたのだろう。この役は、本職のヤクザ映画専門家か、喜劇の専門家にやらせても良かったと思う。

ラスト近くででヒロインの学生時代の回想シーンが結構長く続いた。印象としては、時間配分がちょっと長すぎた。もともと不必要だったかも知れない。断片的に、少し挿入されるくらいのほうが、物語の焦点がぼやけない。元が漫画なんだから、整理され圧縮した語り方が合っていると思う。脚本や編集のセンスに、若干の狂いがなかったろうか?

漫画は、いわば俳句のセンスが必要。この作品は、それを小説のセンスでやってしまったのでは?

ヒモと女の関係に限らず、他者からみると一方的な収奪~依存状態にしか見えない関係は、よく分らない理由によってだが、結構簡単に成立し、他者の関与を許さない強さを持つように思う。たとえば親や警察官らが親切にアドバイスしても、耳をかさずに依存状態を続けてしまうのは、独特の理由があるのだろう。

性的な要求、ちょっとした魅力を過大に気に入ってしまった勘違い、擦り込み現象、新しい生活に踏みいる勇気が足りない点、自信のなさや本当の自虐性など、独特な思考パターンが回って、抜本的な改革ができないような状況かも知れない。

なんでも理詰めで考える人の場合は、「こんなヤツとつるんでいたら、いつまで経ってもアタイは苦労するばかりだわ。」と考え、さっさと次のチャンスに賭ける、つまりヒモ男との断交という選択に結びつくだろう。少々の魅力より、今後の予想のほうが大事と考えるに違いない。だが、そんな考えの人ばかりではない。

男女間に限らない。政治の世界、職場関係、団体内部の人間関係には、本来は好ましくない依存関係が目立つ。マトモな判断の障害となって、結果的に皆の不幸をにつながる判断ミスを犯す危険性が高い。構造改革が難しいのは、依存性にはまってしまうからだろう。

男女の場合は当事者に任せるしかないが、判断ミスを犯されると困る局面では頭を切り替え、不健全な関係は排除すべきと考える、そんなセンスが欲しい。

 

 

 

« 小泉総理談話(2015) | トップページ | 殺し屋チャーリーと6人の悪党(2014) »

無料ブログはココログ