映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主


Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 誰よりも疑われた男(2014) | トップページ | ビッグ・アイズ(2014) »

2016年2月15日

愛着障害 子ども時代を引きずる人々(2011)

- 光文社新書  岡田尊司氏著 -

`愛着障害’は聞き慣れない言葉だったが、心理学の世界では以前からよく使われていた用語らしい。attachment  disorderの訳語で、特に親子の心の結びつき、安心感や信頼感、愛情の実感などに関係する言葉らしい。

この本はつまり、愛情豊かな関係を築くのに失敗したら愛着障害が発生し、場合によっては発達に影響し、次の世代にも連鎖していくといった内容。

本の中に、川端康成や夏目漱石などの文豪が出てくる。彼らは偉大な業績を挙げた人物だが、奥深い部分には障害によって生まれた独特の感性があり、結果的にそれが個性となって文芸にも影響したという解説。かなり納得のいく内容だった。独特の個性がないと、本は売れない。個性は、もしかしたら障害だったかも。

同じように考えると、文学関係以外のあらゆる分野で、異能の持ち主、偉大な業績を挙げた学者、巨大企業の創業者などは、かなりの確率で障害者なのかも知れない。障害が、結果的に不屈の闘志、個性、魅力となって、業績を産んだのかも知れないと感じた。

スティーブ・ジョブスは本の中でも紹介されていた。市民ケーンのモデルも、そう言えばそうだった。クリントン大統領もそうだったとなると、もしかして今話題のドナルド・トランプ氏もそうではないか?明らかに普通の人ではないから。

彼らの業績を思えば、愛着障害は仕事の面には良い効果をもたらす場合も多いことが分かる。ただし障害のあり方によっては、病的な人間関係を生じて結果的に不幸につながる場合もあるようなので、一概には言えない。人類の発展は、先人の愛着障害のたまものかも知れないので、障害を大事にする考えも必要かも知れない。

劇場主は、母親の献身を感じながら成長できた点で、非常に幸運だった。末っ子で、甘えすぎてしまった面はあるかもしれないが、心理テストをやると、えらくバランスが良い結果が出たりして、「やはり私の人格の素晴らしさが出てるね!」などと、周囲の人をコケにしたりする。冗談でだが。

でも、人間関係を素晴らしく構築できているかと言えば、全くそうではない。偏屈な性格の、嫌われ者に近い。愛着障害以外の、違った形態の発達障害の要因が大きいようだ。倫理面や宗教面の感覚など、センスや認識具合にも違いがあって、話していて当方が辛くなるから、相手のほうも何か感じるはず。時々、自分以外の人間は倫理や認識に関して障害があるのではと、逆に疑いたくなる事すらある。

障害の存在は確認できて、問題点も分かったとして、それからは克服の仕方が一番の問題。幼少時にできあがった脳の型を、訓練で変えるのは非常に難しいように思える。方法に関してはまだ、確定的なことは誰にも言えないのでは?そもそも、有益な方向にコントロールできるものなのか?

軍隊式のトレーニングのような、人格を変えるほどの環境があれば、もしかすると克服できるかも知れないが、かえって妙な方向に行かせてしまう気がする。かといって啓蒙本を読んだり、グループカンファなどの通常の手法では、効果の面で疑問。

結局、発生を予防することが重要ではないか?ただし、幼少時から子供を保育園に行かせて共働きしないといけない昨今の事情は、将来の日本人の性向によくない影響があるだろうと、この本を読んで改めて思えた。

 

 

 

« 誰よりも疑われた男(2014) | トップページ | ビッグ・アイズ(2014) »

無料ブログはココログ