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2016年2月 9日

ゾンビランド(2009)

Columbia

- 一級品 -

ゾンビがはびこるアメリカで、青年とゾンビハンター、詐欺師姉妹が旅をする物語。DVDで鑑賞。

これは間違いなく傑作と思った。内容はくだらないホラー・コメディだが、有名な俳優が出演していることで、他のゾンビ映画とは最初から違うと思う。どういった経緯で制作が進んだんだろうか?明らかに面白くなると皆が考えて、資金が次々と舞い込んだのだろうか?

登場人物の個性がちゃんと描かれていて、脚本の基本が実にしっかりしていると感じた。それに意表をつく意味で、ビル・マーレイ本人の登場も有効だった。コメディ路線のゾンビ映画は多くなってきたが、ただ恐怖を描くだけよりヒネッた魅力が出るようで、人気の高い映画が多い。立派なひとつのジャンルになっている。

「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ウォーム・ボディーズ」もそうだった。ギャグや恋愛感情が恐怖映画の中で語られるなんて、ちょっと前は考えてもいなかったが、リアルなゾンビ達が暴れるだけの作品より、印象が残るのは間違いない。単純なホラー映画では、よほどな工夫がない限り限界が来ていると思う。

主人公に相当するのはジェシー・アイゼンバーグだったが、個性で言えばウディ・ハレルソンやエマ・ストーン嬢のほうが目立っていた。ゾンビ達を倒すのに、わざわざバットを持ち出したりする点がおかしいし、習慣的に人を騙す点も笑える。

エマ・ストーン嬢は目玉が大きく、小ずるいワルの雰囲気にぴったりだった。日本では、あんな個性の女優はあんまりいないように思う。いるんだろうが、映画の中で充分に生かせていない気がする。悲劇が演じられる演技力と、ニヤリと笑う喜劇の演技の両方が演じられないといけないから、女優も限られてくるものだろう。

ちょうど西部劇で出てくるヒネた個性のガンマンを思わせる。悪行を平気ではたらき、主人公も苦しめられるが、意外なところで協力してくれる善玉的な部分もある、そんな個性。もっと色気が目立っていたら、さらにおかしかったかもしれない。色気が目立つ悪女役はたくさんいるから、その典型で演じても良かったかも。

だまし、騙され、脅し合い、銃を突きつけ合う関係から、徐々に仲間意識が芽生えて共闘する流れが良い。いかにギャグやアクションが凄くても、話の流れが基本的に友情や愛情をはぐくむものでないと、後味が良くない。殺伐とした世間から離れて、せめて映画では根底にある信頼関係を味わいたいもの。特にホラー映画でこそ、救いが欲しい。

ちょっとしたシーンにも、ギャグのような会話が色々出てきて、しかも人種を問わずに笑えそうに思えた。強いて言えば小さな子供には向かない内容の会話もあったと思うが、中学生以上なら、おそらく万国共通で受けそうに思えた。アメリカ専用の映画ではないと思う。ホラー映画は、結構世界中で需要があるようだ。

昨今流行の、画面に文章が立体的に表示される表現も、こんな作品の場合は効果的。おかしいテロップを表示させたら、それだけで笑いが増える。

ゾンビ相手のルールの設定も非常におかしかった。もちろん他の映画でも、何かのルールを話すのは良く使われる手法だが、この作品の場合は表現の方法と、他の設定との相性が抜群に良かった。

おそらくCGも相当使われている。遊園地の乗り物で吹っ飛ばされたり、地面に落ちたりするシーンも高度な処理がされていたはず。二級品の低予算ホラー作品では、さすがにあんな演出は無理だろう。雰囲気は二級品に真似ているものの、立派な一級品だと思う。

 

 

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