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2016年2月27日

読書する女(1988)

Albatros

- 癒やし効果の表現 -

美声を生かす商売として朗読業を思いついた女性。足が不自由な青年、盲目の未亡人、会社社長、老教授など、様々な人物から仕事の依頼が来る・・・

・・・・DVDで鑑賞。フランス映画らしい雰囲気の、妙な作品だった。ヒロインのミュウ=ミュウは、ただのカワイ子ちゃん女優ではなく、何か理知的な雰囲気の人で、この役には向いていたと思う。

ただし、少しオバサンチックな顔とも言えるので、彼女以外の妖精のようなイメージのタレントにやらせてもよくなかったかと、ちょっと思った。児童ポルノになってはいけないが、邪気のない娘みたいな印象の若い女優に演じてもらったら、さらに魅力が強烈だったかも知れない。

この作品の場合、ヒロインはものすごい美人である必要はないと思う。可愛らしく知性に富むか、もしくは知性を得ようと努力している必要はある。真剣に学ぶ姿勢、探究心が旺盛、そして無邪気なほうが良い。観客が共感してくれるためには、そんなキャラクターが欲しいと思う。たくさんいるだろう。

文学作品の一部が頻繁に紹介され、なんとなく高級な感じがした。フランス人は日本人より議論好きで、有名な文章の一説をそらんじるくらいは当然、それができなきゃ知性が足りないよ、といった会話を映画ではよく見る。実際に、そんな人物ばかりかどうかは知らないが、おそらくホワイトカラーの人間では、そんなものでは?

いっぽうで、会社社長とのやりとりなどは、完全にエロティックコメディの路線。客ごとにシーンの在り方も変わっていた。それはそれで、悪いことじゃないと思う。毛色が色々違ったほうが、作品は面白いと思う。

この作品は、ドラマティックな恋愛劇などがあるわけではないので、恋人といっしょに鑑賞しても、そんなに盛り上がるようには思えない。今の若い人達だと、映画が何を言いたいのか分からない人が多いかも知れない。子供にも、おそらく受けない。ハリウッドスタイルと違うからというのも、理由になるはず。

表現方法が古く、曖昧で、直接的で劇的な表現に慣れた今日では、大人しすぎる印象。ポルノチックなシーンも何度かあるが、なんとなく健康的というか、奥ゆかしくて映倫の目を強く感じる表現。古さのせいだろう。

運転中にラジオ番組で、時々朗読を聞くことがあるが、眠くなるのが怖くて直ぐに切り替えてしまう。でも美しい朗読の声には、人を癒やす効果があると思う。例えば病人にボランティアで朗読してあげられるなら、非常に喜ばれると思う。こどもはの患者は特にそうだろうが、大人だってそうだろう。

テレビばかりに頼っていては良くない。朗読は、聞く人に情景を想像させる作業が必要になる。脳内の活動の仕方が、テレビとは異なる。そして基本的に読む声は静かであることが多く、落ち着きを生む効果がある。

映画で、その点を強調しても良かったと思う。音楽やカメラワークで、朗読が発生させる独特の温かい雰囲気、癒やし効果を表現できたら、観客だって幸せな雰囲気になる。この作品も凄く強い印象を残せると思う。

ただ、朗読を商売にするとなると、映画のように良からぬ人物が何か妙な期待を持って依頼してくると予想される。身の危険も覚悟しないといけないだろう。ある意味で、この作品はリアルだった。

 

 

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