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2016年1月13日

博士と彼女のセオリー(2014)

Workingtitle

- 根性物語 -

スティーブン・ホーキンス博士の伝記物語。特に彼と妻の関係を中心に描いている。DVDで鑑賞。 

美しい映像、印象的なシーンが多い映画だった。主演のエディ・レッドメインが実にリアルな難病患者ぶりを演じていて、アカデミー賞を取ったのが頷けるほど。ヒロインも、ただ献身的なだけじゃなく、人間らしい役柄を上手く演じていた。

ホーキンス博士は物理学に止まらず、科学全般のスター学者で、尊敬を集め続けている。でも劇場主は彼が結婚していたり、子供さんや孫がいることを知らなかった。彼のALSは、理由は知らないのだが経過がゆっくりみたいで、しかも高度な知性の持ち主だったことや管理が良かったことなどが重なったのか、数十年にわたって療養できているそうだ。

だが、おそらくかなり珍しい例では?劇場主が担当したALSの患者さん達は驚くほど経過が早く、何もできないまま亡くなっていった。ひとりの方は、そう言えば最近散歩されてないなあと思ったら発症していて、急速に進行してしまった。精神力がある人であっても、実に辛そうな表情をされいて、こちらも困ってしまうことが多かった。

自律神経反射が残るから、性行為は可能と思える。でも、奥さんにも根性がないと難しい。そもそもALSの原因が分からないので、遺伝性の要素も否定できない。しかも、寿命の短そうな夫と結婚し、その後の生活が維持できるかは、愛情だけでは無理がある。

奥さんは御自分も学位を取ったりすることから考えて、意欲的で優秀、頭の回転も速くて家事の処理能力が高く、それに宗教的な面でも包容力と忍耐力のある人物だったのでは?それらが全部そろわないと、この奥さんにはなれない。普通の人間では、最初から結婚を諦めるだろう。

彼らは結局は離婚したそうなのだが、奥さんを責めるのは酷なように思う。奥さんは充分に頑張ったと思う。彼女の献身がなければ、おそらくホーキンス氏は業績を減らしていただろう。博士にさえなれなかったかもしれない。本人の意志の力、能力だけで業績は作れない。この作品を観て、そう感じた。

この作品は子供には向かないかもしれない。昔あったような美しいだけの伝記映画ではないから。恋人達が観ると、どんな感想が生じるのか興味がある。個人的には、ぜひ観てもらって、シビアな面、不幸な面についても考えてもらいたいと思わないでもないが、あんまり真面目に考えすぎると、結婚が怖くなってしまうかも知れない。

ヒロインを演じたフェリシティ・ジョーンズは、実に女優らしい顔をした女優。演出にもよるのだろうが、目線を動かさないので、観客の注目を集めることが自然とできている印象。本人もオックスフォードを卒業したというから、この役にはぴったりだった。

レッドメインの演技が目立つ作品だが、彼女の根性ヒロイン物語として観ることもできる。

学生時代に知った女性の中にも、根性と能力を兼ね備えた人間が多数いた。医学部の同級生は特に、皆が能力も人格も素晴らしい方達だった。入学前から人生に絶望していた劇場主は、残念ながら彼女らからは相手にされなかったが、こちらも気後れしてしまうくらい、彼女らの覇気は凄かった。

意志の力には何が必要なのか、いまだに理解できない。例えば信仰心があれば難行に耐えさせてくれるから必須の要素かと言えば、無宗教の女性だって素晴らしい業績をあげてる人は多い。頭が良ければ必ず優れた業績をあげるかと言えば、これも大事な要素ではあるものの、必須とは感じない。

思考のパターンにも、何かが必要な気がする。教養の程度にかかわらず、論理の組み立て方や思考の進め方に、健全さや力強さが常に生じていると想像する。何をもって健全と言えるかがよく分らないが、おそらく問題処理能力があることも、悩みすぎないで仕事を済ませるという意味で、健全さにつながる。

あるいは何か考え方を勘違いしている場合もあるように思うのだが、そんな風に批判する資格は、劇場主にはない。

 

 

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