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2016年1月31日

グッド・ライ いちばん優しい嘘(2014)

Alcon_etc


- 本職求む -   

スーダンの内戦からの避難民が、アメリカに移民する。彼らの兄は、身代わりとなって現地に残された。アメリカ社会で苦労する弟達だったが、兄の犠牲は重く心にのしかかっていた・・・・

・・・・難民や、その家族が出演した映画。ストーリーは架空のものらしいが、実際の境遇に非常に近い話を構築し、本物の難民に演じてもらうという趣向で進めた作品。その趣向が良かったか悪かったかは分からないが、難民を演じた俳優達は上手いとは感じなかったものの、存在感は確かにあった。

本職の俳優だけで作っても良かったようには思った。どうせリース・ウィザースプーンは有名俳優だし、支援活動はしているらしいが、それが本職でないことも明らかだから、観客は物語として映画を観ている。したがって、プロの俳優だけで演じても良かったかも知れない。あるいは、台詞の少ない人物を一人だけ、実際の難民にするという現実的な手もあったろう。

兄弟がたどる逃避行の辛さが上手く表現できていた。時間配分が良かったと思う。いかに悲惨な経験をしてきたかが、この作品の印象の深さに直結する。悲惨で無残な戦闘行為が分かりやすく表現されていた。いっぽうで、悲惨なシーンばかりでも、辛くなりすぎていけない。

小さい子供には、残虐シーンがトラウマのようなものが生じてしまうかも知れない。この作品は、だから家族でいっしょに鑑賞する類の映画とは少し違うと思う。恋人と一緒に鑑賞する作品としてふさわしいかもよく分からない。でも、間違いなく優れた作品で、グロテスク過ぎたりはしないし、なんらかの感動を得ることができる映画だから、個人的には勧めたい。面白くはないかも知れないが。

ところどころに笑えるシーンもある。電話の意味や使い方が分からなくてトラブルが発生したり、文化のギャップに戸惑うシーンはおかしい。やり過ぎない程度にジョークも出して、節度を守ったスタイルで、それなりのユーモアも感じられた。悲惨な話だけでは観客が保たないから、良き判断だった。

この作品は実に良いテーマを扱い、全編が人間性あふれる感性で作られている。昨今のISとの戦いに辟易としている人の多くは、こんな話に心を洗われるように感じるはず。でも、実際に難民を受け入れるのは、やはり難しいこと。条件が整わないとできない。

仮に彼らがシリア難民だったら、アメリカは受け入れただろうか?アラブ系難民の場合は、難民の中に必ずと言って良いくらいテロリストが発生してくると予想される。難民になった時点では幼かった子供達が、やがて成長してISに協調して行動を起こす。もちろん大多数の子は米国社会に同調し、市民生活を送ろうとするだろうが、はみ出し者も必ず出る。それが確実なので、受け入れが難しいだろう。スーダンは条件が違った。

今ではスーダン難民も変わってきているかもしれない。アルカイダ系の勢力に同調する難民も多いのでは?あるいは意図的に難民に紛れ込むテロリストも多いだろう。よくは知らないが少なくとも言えるのは、アフリカのあちこちで起こる紛争全部に、難民受け入れで対処することは無理と思う。日本でも同様だろう。

難民を管理し、テロを防ぐためには膨大な予算、手間暇がかかる。実際問題として、社会がそれに耐えられるかも忘れてはならない。ただ生活を保障するだけならば可能だろうが、長期間にわたり犯罪行為をしないか監視は必要になるわ、管理する人員を確保せねばならないわで、予算に余裕がない日本は財政的破綻が怖い。テロリストも、そこを狙って来るだろう。

受け入れないのは人道から考えると酷いこと。死ねというに等しい。でも、受け入れたら必ず将来に遺恨を残すし、その責任を問われるだろう。テロリストから殺された人達が、受け入れた人を許すはずはない。殺人幇助罪に相当しないとしても、感情的には同じような罪があると感じるだろう。

もともと移民国家の米大陸と日本とでは歴史が異なり、感情の部分でも違いがある。同じ観念で物は言えないと思う。そして、将来犯罪を犯さないと誓う・・・・・そんな契約的観念がない人が実際にいるからには、気の毒だと言ってばかりもおられないように思う。

 

 

 

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