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2015年12月 3日

シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014)

Sony

- グルメ考 -

フレンチレストランのシェフが評論家と騒動を起こし、解雇される。そこで一念発起、キューバ料理の移動販売を開始。息子や友人の協力を得て、再起を目指す・・・

・・・「アイアンマン」の監督の作品なので、娯楽に徹した奇想天外な作品かと思いきや、やや意外な路線。キューバ系の音楽、料理の話に満ちた南国調の物語で、一種のサクセスストーリーであり、親子の心の交流を描いたファミリーものでもあり、あちらの作品によくあるタイプの、涙ほろりコメディ路線のように思う。

ジョン・ファヴロー監督が自身の脚本で監督、主演した作品らしい。

監督の演技はなかなか素晴らしかった。体型は超肥満体で、顔も特に魅力的とは思えず、失礼ながら主人公の魅力としては芳しくはないと思ったが、演技は自然だった。ただ、他のコメディアンのほうが、さらに良かったかも。外見だけで同情を得やすい俳優はいるのだから。

展開は非常に真面目路線。子供との関係を考え直し、共同作業をすることで、子供にも良い影響を与える流れが素晴らい。この点を台詞でもっと強調したら、きっと作品のレベル、印象は随分と違っていたのではなかろうか?父親が子供の協力に感謝し、子供を誇らしく思う、そんな心情の表現が少しだけ足りなかったように思う。父親は、おそらく子供の言葉で何度も泣くべきだった。

一般に離婚した夫婦の場合、子供を独占されることを嫌って、相手から遠ざけようとする人間が多いのではなかろうか?この映画の元妻は、随分としっかりした教育センスを持った珍しい人だと思う。この映画のような元夫婦間の協力は、普通はそれほどないはず。最後のエピソードも、出来すぎのように感じた。

キューバ系のダンスや音楽が取り上げられた映画は過去にも観たことがあるが、最後は踊ってハッピーに終わる点が共通していた。確かににこやかに笑って踊って終わると、いかにも幸せという雰囲気を表現することは出来て分かりやすいものの、ちょっと慣れっこのパターンであることも確かで、もっと他のエンディングを期待してしまった。

親子の関係が主題だったとすると、終わり方は別であってしかるべき。おそらく子供と何か語って、何かを納得して終わる印象的な終わり方が基本だろう。

脇役の演技が良かった。普段は悪役のジョン・レグイザモが好人物の同僚を演じていたが、料理人にありそうな表情、雰囲気が日本人の料理人とも共通していて、なんだかおかしかった。

元妻役は、極めて派手な顔立ちのソフィア・ベルガラ。非常にスタイルが良くて目立っていたものの、せっかくだから観客を笑わせるセクシーさを出して、主人公に離婚を後悔させるシーンなどあったらどうだろうかとも思った。

現代のセクシー・クィーンであるスカーレット・ヨハンソン嬢は、今回は髪型をいじって、いつもとは違った印象。主人公と色っぽく会話し、料理を眺めるシーンではお色気を出してくれたものの、少し抑え気味で、何を演出して観客にどんな反応を期待しているのか曖昧な感じも受けた。

チョイ役でロバート・ダウニー・Jrが嫌らしい変わり者の実業家を演じていたが、変人ぶり、イヤミな個性とも非常に素晴らしかった。

料理評論家の実像はよく知らない。日本にもたくさんカリスマ的な評論家はいると思う。しばらく前は「まったりした・・・」と評する変な人物がいたし、料理番組では代わる代わる、いろんな人が登場する。ブログで有名な人もいるだろう。料理の味には客観的な基準がないので、言い方や文章表現が、評論の評価を決めると思う。本当の評価は難しい。

素人評論家達も勝手にいろいろ評価しているが、劇場主は料理に関してはこだわりがないので、理解はできない。栄養のバランスや野菜の多さ、新鮮でビタミンが摂れそうかどうかなど、栄養学に偏った視点で見てしまうので、この作品で出てきた料理のほとんどは毒に等しいものに思えた。

美味いかどうかにこだわると、人生は楽しくなるように思う。劇場主のように爪の先に火を灯すがごとき生活をして、関節の痛みに耐えて運動し、丼いっぱいの野菜を食べて我慢してても、意外に早死にしそうな気がしてならない。確信を持って質素に出来ていない点が、我ながら辛い。

 

 

 

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