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2015年11月24日

マッドマックス 怒りのデスロード(2015)

Warner

- 退屈させない -

核戦争後の世界で、暴力で地域を支配する勢力から脱出しようとする集団の戦いを描いた作品。マッドマックス・シリーズの監督がメガホンをとっている。DVDで鑑賞。劇場には行かなかった。

マッドマックス・シリーズは独特の感覚が感じられる。カーチェイスが見せ場になった作品は、普通なら街中が舞台のことが多い。カーブを車が曲がる際に迫力が出ることが理由ではないかと思うが、マッドマックスの場合は荒野でもちゃんと迫力ある映像が撮れることを認識させてくれた。

しかも、著しく寂れた荒野。家の映像がほとんど出てこない。今回は特に砂漠ばかりで、人の生活の匂いがしない場所でカーチェイスをする、独特の未来感が感じられた。生活感がしないことが、現実から遊離した世界をイメージするのに役だっているようだ。

アイディアが豊富な映画。今回の戦い方は特にそうで、アイディアの宝庫から次々とアクションを繰り出しているかのように、武器も攻撃の仕方も様々だった。カメラワークにも独特の感性を感じた。綿密に計画して、迫力が出るカメラワークを編み出したようだ。

キャラクター設定も、かなり工夫されていたと思う。おそらく監督は、現実から遊離した世界で作品を作らせると、アイディアが次々出てくる人なんだろう。登場人物の個性に関しては、よく思いついたと感心した。

最も魅力的だったのは、病気で命が短いはずの敵ニュークス君。最近の「X-MEN」でビースト役だった俳優が演じていた。病身のくせに結構タフで、何度も進入してきては主人公を苦しめ、やがては仲間にとりいるという、ひねた個性が素晴らしかった。残念なのは、最後まで主人公とは対決姿勢を保ち、チャンスをうかがうほうが良かったと思える点。少し描写がいい加減だった。

虚弱そうな体型が良かったし、首領に褒められて感激した際に見せるホモセクシャルみたいな表情が実に気持ち悪いのだが、それでいて彼の感情が理解できて、なんとなく彼に同情してしまうような素晴らしい表現力を感じた。

主人公のマックスを演じていたトム・ハーディは最近よく出てくる。兵士役の脇役として目立っていたが、「ブラック&ホワイト」あたりから主役級が目立ち始め、アクション俳優としては現在最高レベルの存在感を感じる。でも、メル・ギブソンと比べると、目力に欠けているような気もする。役柄は限られているかも知れない。

この映画はエログロ趣味もあって、完全に二級品路線だと思う。演技も、歌舞伎に近いような格好付けが目立つ。モデル達を集めて砂漠の真ん中でシャワーを浴びてもらう演出は、よく考えてあったとは思ったが、作品の質は落としたかも知れない。彼女らは、逃げ惑う哀れさと、小出しするちょっとしたお色気を担当するくらいがちょうど良いと思う。

最初から質にはこだわっておらず、アクションを上手く撮ることのほうに気が入っていただけかも知れない。質にこだわると、人によっては退屈な作品になってしまうから。退屈だけはさせないという、そんなこだわりを感じた。

核戦争の害を強調するシーンがあって、ちゃんと真面目な部分は真面目だった。だからといって子供に見せたい映画とは思わない。不必要なのに素っ裸の女が登場していて、役者が格好つけて、変態みたいな表情の悪者が活躍する映画なんて、教育上よろしいはずがない。でも、面白いんだなあ。

 

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