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2015年11月27日

リトル・フォレスト 冬/春(2015)

Shochiku

- TPPへの考察なし -

田舎の集落で独り、農業にいそしみながら生活する娘の独白、料理、農作業を綴った作品のパート2。秋と冬編。

センスの良い構成、着想に感心するシリーズもの。元々は漫画エッセイ風の原作があるそうで、それがセンスに優れた作品のようだ。興行的に大成功を狙う作品では最初からないので、限られた観客だけを狙う独特の路線と思う。

子供にはそれほど受けないだろうと思うが、感性の鋭い娘さんなどは、大変な影響を受けて独り暮らしに憧れたりするかも知れない。恋人といっしょにデートで観る作品としては、静かすぎるかも知れないが、雰囲気自体には悪い影響はないように思う。大人の、静かな関係の人と観る場合には最適かも。

ただし、クセのある作品。画面を3個に割って画像が変わっていくシーンで、嫌悪感を感じる人がいるかも知れない。多少気取りすぎで、わざとらしい雰囲気と毛嫌いする人もいるかも。観客を選ぶタイプ。

はたして女性達の支持がどれだけあったかも気になる。少女趣味の独白は、所詮は男性から考えた女性の考え方の想像かも知れない。あるいは、本当の女性の感情を、男性の表現で置き換えて作られた話かも知れない。やや教育的~内省的な点は、反発を受けたり、興味を惹きにくい部分があるかも。

風景を上手く撮影してあることに感嘆した。日暮れ時の日光、雲の輝きなど、良い光景を丹念に撮影している。田舎では何でもない光景なんだが、そこにいるだけで幸福感を感じられそうな、そんな感覚。これは田舎人だから、そう感じるだけかも知れない。

舞台となった村は、それでも比較的人口が多そうだ。今は年寄りがどんどん高齢化し、農作業は厳しくなり、全く耕作されていない農地ばかりが目立つ場所も多い。村で祭りをしようにも、そろそろ非現実的かなと感じるくらいになったら、限界が近いということ。踊りなど、とうに廃れてしまっている地域もある。

映画では様々な料理を作っていたが、疲れ切った作業の後、料理をするのは辛いと思う。劇場主も結構料理をするほうだが、独り暮らしでやれるか考えると、自信がない。家内がやってくれることに感謝しないといけない。女性が農業で独り暮らすのは、おそらく相当な根性がないと難しいだろう。

経済的なことも考えてしまう。米は、換金できるほどの量を作るのは難しいかも知れない。生産者米価で一俵1万円以下だと、機械を使えば元が取れっこない。もちろん小遣い程度なら可能だろうが、米価に関して今後も期待は出来ないので、米作はあくまで生産品のひとつに過ぎないと考えざるを得ない。

現金を得るためには、かなり広大な畑を持ち、通信技術を駆使して効率の良い野菜生産をするなら期待できる。でも、子供の頃の経験では害虫やイノシシなどにやられるロスが多すぎて難しいようにも思う。農協などに勤務できれば良いが、電気代、ガス代などは何かの現金収入で稼がざるを得ず、歳をとってからは難しいだろう。

劇場主の家は土地の所有面積が少なく、農業を継ぐようなことは全く考えなくて良かった。その代わり、子供の頃から村を出て行って何かしなきゃいけないんだと、なんとなく自覚せざるをえなかったように思う。結果的に、それは学業への意欲を産んでいたのかも知れない。

農家を継ぐと分かっていたら、どんな気持ちになったろうか?若い時期に結婚して子供を作ろうと考えたと思う。生活に関しては、かなり覚悟を決めて、なんとか破産しないように、徹底的な倹約を心がけることになったろうか?現金を得るために、場所が良ければアパート経営なども考えたかも知れないが、それができるのは幸運な家だけだろう。工夫のしようがない家がほとんどでは?

TPPに関して、今頃必死に調べていたかも知れない。そして離農を考えていたかも。生きるためには、それも仕方ないと思う。

 

 

 

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