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2015年11月15日

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014)

20cfox

- ブラック・スワン路線 -

アクション映画で名をはせた主人公は、落ちぶれて再起を賭ける舞台を準備中。しかし、資金繰りや俳優との諍い、家族問題で精神的に破綻寸前・・・・

・・・・舞台裏の光景が非常にリアルな内幕もの。実に変わった作品で、芸術的な表現と分かりやすい演技、訴えかける力などのバランスを上手くとっていたように思った。

アカデミー作品賞を始め、多くのタイトルをとったのも頷ける力作。特に良かったのはカメラワーク。映像が途切れず、シーンのつながりが失われないように工夫してあることが明確に分かったので、誰もが画面から気を抜けなくなるような効果があったはず。

ワンカット風にするアイディアは誰が考えついたのか知らないが、テンポや観客の印象、注意のひき方に関しての効果が抜群で、素晴らしい考えだった。ひょっとしてテレビドラマで頻用されるテクニックを、映画でもやりたいと誰かが考えたのか?ドラマ「ER」の雰囲気に近かった。

舞台のシーンでは、背景になる人物のぼやけ具合が実に的確で、主人公に注目が行く時は、共演者がぼやけており、共演者にも注目が必要な時はちゃんとカメラが寄っているという、分かっていても失敗しやすい基本がちゃんと徹底されていた。

役者達の個性、特に役者バカの身勝手な男を演じたエドワード・ノートンと、薬物依存の娘役エマ・ストーンは非常に強い印象を残した。演技過剰だったとは思うものの、ギリギリ実在しそうな線は保ち、派手で分かりやすい演技をしていた。日本人にも理解しやすい表情だった。

心理劇が中心となった作品では、時々理解不能の状態になる。こちらの頭が悪いのか、それとも作り手がこだわりすぎて、芸術的な表現に走りすぎて分かりにくくなっているのか、よくは分からないのだが、陥りやすいパターンはあると感じる。この作品は、そんな愚を避ける判断が働いていたように感じた。その微妙なセンスが、出来映えに生きていた。

この作品のアイディアがどんな風に出てきたのか興味がある。誰かモデルがいたのだろうか?監督は特に舞台の仕事が長かったようには書かれていないので、何か元になる話がありそうな気がする。

まさか最初からマイケル・キートンをモデルに考えていたのだろうか?かってのバットマン役の俳優、ありえない話ではないように思うが、キャスティングと同時進行でストーリー作りをやって、キートンに合わせてバットマンに似たヒーローを考え出したりしたように想像する。

死を予感させる基調は、「ブラック・スワン」のそれに近いと感じた。同じような心理劇で、舞台に係わる話で、CGが実写に加えられて、主人公の狂った心理を表現するのに使われる・・・つまり、今のハリウッドの流行は、このような映画なのだろう。

ブラック・スワンと違って笑えるシーンが多い点は、後味の面では良かった。カメラワークの点でも特徴があった。迫力や最後の強い印象の面では、歩が悪かったかも知れない。そして結局は内幕ものであり、最高の名作として生き残ることはないような、普遍性に欠ける印象も受けた。

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