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2015年11月 9日

おみおくりの作法(2013)

Redwaveetc

- 我が身を心配しました -

ロンドン近郊で民生員をやっている主人公は、孤独死の後の処理、埋葬を担当。しかし仕事が丁寧すぎたせいか、彼は解雇されてしまう・・・

・・・・よきアイディアに感心。映画の題材として、良いテーマを選んだものだ。日本の「おくりびと」とも似たような主人公の話だったが、人の最後に関わる話は非常に深い感傷を生むから、作品の質が期待できる。

主役のエディ・マーサンが実に素晴らしい。いわば非常に妙な顔をしているのだが、それが不器用な生き方、ゆっくり着実に仕事を進めていく主人公のキャラクターに合致していた。ハンサムな俳優では、こんな役柄の場合は味が出ない。

町中の銅像などを使って、静かにたたずむ主人公が笑えるように工夫されていた。草むらに寝転ぶシーンと、ラスト近くで道路の上に転ぶシーンも、同じスタイルになるように仕掛けてあった。

おそらく、あれはスタッフのユーモアのなした業だろう。悲劇においてユーモアをはさむ、独特の雰囲気作りがなされていたように感じた。少しのユーモアによって、話全体が美しく感じられる傾向はあると思う。

ヒロインのジョアンヌ・フロガットは。どこかで見た顔と思ったら、テレビドラマ「ダウントン・アビー」でメイド役をやっていた女優だ。あまり華やかさがない点で、悲劇に合う個性だと思う。

孤独死も珍しいことではない。たぶん昔から独り者が静かに死んでいくことは多かったのだろうと想像する。一般的な理想として、家族に看取られながら亡くなることが望まれ、社会が安定して実際にもほとんどの方がそうなると、孤独死がひどく不幸に思えるだけだろう。

今は、まだまだ核家族化が進行中の状況。田舎に産業がなく、若者は基本的には都会に出て行くから、田舎に年寄りが残ることが多い。限界集落といった聞き慣れない言葉が、いつの間にか常識的な言葉になってしまった。、

田舎に限らない。都会の年寄りも、自由がきくから一軒家に残りたがる。適切なタイミングで施設などに移れれば良いが、タイミングを失すると孤独死はすぐやってくる。

介護保険制度や、役所、近所の人たちの手助けが上手く働くことが多いとは思うものの、中には時期を失して失敗してしまう例もある。自分も判断力が損なわれた状態で、はたして自分の老後がどうなっているだろうかと考えると、不安に思う。

劇場主も訪問診療をやっているが、部屋が汚いので正直、足を踏む場所を確認しながらの診療。いつかスリッパを持って行って履いたら、たちどころに患者さんから嫌な顔をされてしまった。便を踏まないように、用心しないといけない診療は、正直言って辛い。

自分も孤独死にならないように、考えておくべきと思う。子供達は、生活能力の点でも情緒の面でも、信頼をおける状態にない。自分で施設を選び、介護職員のやっかいになるしかないのだろうか。その頃、介護保険制度が続いているかも、少し不安。

 

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