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2015年11月30日

華氏451(1966)

Atgetc

- クリスティ女史のために -

思想管理が徹底した未来社会。本を没収して焼く消防士の主人公は、ある女性と知り合ったことで、読書に目覚めてしまう・・・

・・・DVDで鑑賞。50年も前の映画だから、さすがに古い。でも画質や音質に関しては何も問題を感じなかった。リマスタリングされていたかどうかは知らない。最近の「図書館戦争」に通じる、管理への抵抗がテーマになっていることが感じられる。

テーマは素晴らしい。焚書坑儒のような思想管理は、圧政を象徴する。問題点を浮き彫りにできれば、素晴らしい作品になる。

主人公は、パッと観て風采の上がらない人物のように感じた。小役人の雰囲気が出ていて適役かもしれないとは思ったが、まさか人気が出そうな役者には思えない。演技力も特に感じなかった。当時は、こんな俳優が人気だったのだろうか?

対するヒロインのジュリー・クリスティのほうは充分に目立っていた。でも濡れ場の表現などがあまりに簡素すぎて、他の出演作と比べたら、印象の面ではそうまでないようにも思った。当時の倫理規定では仕方なかったのか?でも充分に美しく、いつも以上に理屈っぽく、当時の彼女の雰囲気が出ている。

おそらく、この作品は彼女のための映画なのだ。ヒーロー氏は盛り立て役に過ぎないから、ハンサムすぎてはいけない。反体制派の代表格の女傑ジュリー嬢がいかに魅力的に映るかが大事だったのだ。

そう考えると、さらにもっとヒロインが目立っても良かった。二役を演じていたうち、短髪のほうの活動家が政府と戦って活躍するとか、怪我するとか、何か演出があっても良くなかったか?政府側の上層部が登場しないので、究極の悪役、嫌悪の対象がいない。それは映画としては好ましくないと考えるのが普通。

消防隊や警察の追及が軽すぎたように思う。予算不足なのか、乗っている車も破壊力不足のようだ。作品が盛り上がるためには、要するに管理者サイドが嫌われる必要があるので、残虐で執拗、無抵抗の容疑者達に暴力がふるわれるなど、非人間性を強調した方が良い。暴力が軽すぎた。

撮影のスタイルや、金のかけ方、小道具などに、何か安っぽさを感じるのは私だけだろうか?どぎついリアルな路線は、表現上の問題があったのかも。ナチスを直接連想させてはならないとか、子供に見せられる映像に留めないといけないなど、何か法的な問題があったのかも。

日本でも思想管理めいたものはある。ネットで炎上するなども、一種の思想的圧力だろう。炎上した方が酷いことを言っている場合が多いとは思うが、実は特定の政治勢力が暗躍して、政敵を攻撃する手段にしている場合もあると思う。

中国や東南アジアの一部の国がやっているという管理は、大勢の隊員が監視して削除したり検索に制限をかける方法らしいが、これは日本では可能だろうか?もしかすると、TPPでも何か決めてあるかも知れない。日本がやるとしたら、検索エンジン管理者に圧力をかけ自主的な規制を図る方法が現実的だろう。今後は都合の悪いサイトが自主的に排除される、閲覧不能になる、あるいは閲覧者を自動的に記録し、その趣向を把握し、管理に役立てるなどが考えられる。

政府に批判的な人物には、ネットを介して自動的な攻撃、炎上を上手に形成し自然に見せるソフト、そして実際の犯罪立件など、複合的に攻撃することは可能。いざとなったら、公権力が力を見せ、個人では対抗できないと思う。

もちろん書物や新聞にも、いろいろ圧力をかける方法があるだろう。管理が強化された時、はたして自由を守ろうと考える日本人が多いかどうか、あまり期待しすぎてはいけないように思う。

日本は妙に整然とした国で、立場や雰囲気に敏感すぎる。それに流されてしまう人は多いから、簡単に管理されてしまう。本当は憲法で誰からも守られていることが自覚できたほうが良いのだが、政府が憲法解釈をいじっても反発が少ないので、守られないと考えてしまう結果、流されてしまう伝統から抜け出せないようだ。

権利を守るために戦った人間を賛美し、抑圧した人間は、たとえ偉人と思われていたとしても排斥する、そんな作業を小さい子にさせないかぎり、事態が悪化した際に歯止めがかからないだろう。

 

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