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2015年10月13日

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告(2015)

- エマニュル・トッド著 文藝春秋社 -

ドイツ企業がEUを支配し、大多数の国が支配下に落ちて、南欧の国々は財政破綻、EU脱退へと追いやられる、そのような内容の本。

人口動態などを研究している学者の本なのだが、著者がかってソ連の崩壊を予想していた関係で、預言書としての意味合いがあり、かなり売れたらしい。でも、ソ連崩壊は予想していた人が多かったはず。劇場主だってそうで、時期が正確には分からなかっただけ。彼だけが随一の予言者とは言えないはず。

ドイツ財界に対する氏の評価が正確なのかは、読んでもよく分からなかった。ドイツが他の国より好況なのは本当と思うが、フランス企業が完全に支配下にあるはずはなく、強い影響下にあって互いに密接な関係、といった評価のほうが正確ではないかと思う。

フランスの産業が、そんなに酷い状況とは思えない。それなりに十分な利益を得ているはずだ。GDPで言えば、フランスとドイツで倍も違ったりするわけではない。好況かどうかには違いがあるかもしれないが、支配関係にあると単純に言うことはできないはず。投資、被投資の関係に多少の偏りは生じるだろうが、米国→日本のような支配とは違うだろう。

売れっ子学者らしい、一流の言い方なのではないか?学術的根拠を示しながらも、目一杯毒々しい意見を言いたがる欧州の文化人によくある表現方法のように感じた。「ドイツ帝国」という表現に、何も感情がこもっていないはずはない。

劇場主の場合、ドイツの製品というとBMWやベンツなどの車と、ひげそりのブラウンくらいしか思い浮かばない。昔は陶器や包丁を始め、あらゆる製品が頑丈で合理的に作られた名品といったイメージもあった。昨今では、日本製の電器製品のほうが進化の度合いが上のような気もする。

特にVW社のディーゼル車の排ガスに関する不正は驚くべきこと。信頼度の失墜に関しては、過去に例のないほど著しい悪影響があるかも知れない。明らかに意図的に不正をやっており、影響を受ける車の台数も凄いし、罰金も兆単位というから、これがドイツ帝国の野望を失速させやしないかとさえ思える。

数十万台単位の車に関係することである。発覚しないという自信があったとしたら、係わった経営陣や技術者の常識の度合いも知れてくる。誰かが内部告発をしたのだろうか?あるいは、他のメーカーの技術者が、VWの技術を盗もうと研究していて真相に気づいたのか?

スズキが急にVWとの連携を外れる動きを加速させたように見えたが、あれは何かを知っていたからだろうか?共同研究でスズキ側に不正を教えるなどは考えにくいが、スズキ側の人間で勘がはたらく人がいれば、怖ろしい事件に発展することが予想できたろう。

報じられているように、米国の真面目で優秀な検査官が、検査を繰り返していて気づいたのかも知れない。または、米国でよくあるパターンで、GMの優秀な技術者が政府の検査官に転身して、集中的に敵の会社のあら探しをしていて気づいたのか・・・・考えるとキリがない。

今後の展開も予想が難しい。日本の車にも不正があったら、世界のメジャー企業の勢力構図が一気に変わってしまうかも知れない。兆単位の罰金を恐れない度胸がある人物が日本メーカーにいたら尊敬・・・敬意を感じてはいけないのだが・・・なんとなく凄いこととは思う。でも、結局は最悪の結果が待つだろう。

とにかく、この事件の影響によってドイツ企業への信頼が損なわれてしまうと、トッド氏の予想にさえ影響が出るかも知れない。

思えばギリシア危機の直接の原因も不正な会計だった。今後は、いかに派手で破滅的な不正をするかを、世界中で争うと良いかも知れない。世界中が不正で満たされれば、不正を攻撃することが難しくなり、ギリシアもEUも救われるかも。

加えて、昨今の移民問題。数十万人の移民は労働力にはなるだろうが、失業率や人種対立の原因にもなる。労働力としても、速効性は期待できないように思う。ドイツ経済全体に悪影響が生じ、社会不安も高まる可能性は多々あると思う。 EUの支配権を失う可能性さえあると思う。

 

 

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