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2015年10月 1日

おおかみこどもの雨と雪(2012)

Toho

- 約束事は -

おおかみ男と結婚した女が、二人の子供を育てる物語。現代風ひとり親の育児の現状と、オオカミ人間のSFを合体させた構成。9月13日、衛星放送で鑑賞。

非常に美しい話だった。子育てでの体験を思い出させるようなエピソードと、子離れ、学校生活の現実などが話に上手く盛り込まれていることで、実体験をしているかのような感情が沸いた。

思えば、「サマーウォーズ」でもそうだった。サークル活動などの学生生活や、田舎の親戚の集まりは極めて生活臭のする話で、壮大な戦いは極めてSF的。両極端な話を合体させる点は同じ。そろそろ、他の作り方を考えても良いと思う。「バケモノの子」は、いったいどんな話なんだろうか?

監督、脚本の細田守氏は、ジブリの後継者と目されているようだ。感性の面では近いものを感じる。自然に対する感覚は似ているのでは?そもそもオオカミを登場させたのは、「もののけ姫」あたりが影響しているように思う。

この話は、観客を感涙にひたらせることは狙っていなかったのかも知れない。感涙を生むためには、アニメの質も変えないといけない。もっと細かい表情が表現できるような、写実的な絵にならないといけない。そうすると、子供達が小さい頃の可愛いらしさは逆に損なわれてしまうかも知れないので、加減が難しい。

戦いの要素を持ち込むことも考えられたと思う。人間がオオカミの噂を聞きつけて追ってくる、ハンターや開発業者との戦いなど、アクションの要素が増えれば、「もののけ姫」と似てしまうが、壮大な物語になれる可能性が広がると思う。そこは狙っていなかったようだ。

いくつか疑問を感じた。オオカミが死んでいる場合、普通は大騒ぎになるだろう。ゴミ収集業者が簡単に持って行ったりするのは非現実的だ。あっさりした別れではなく、意外性に満ちた、荘厳な別れが必要だったと思う。あそこだけで、これは子供だましの話ではないかと疑ってしまった。

親子は貯金でしばらく生活していたという設定だったが、今日、そんな大金を貯金できるのは、よほどな高級取りに限られる。普通の労働者の場合、20-40万くらいの月給から多くの源泉徴収を受け、残りから生活費を払ったら、貯金に万単位で回すのは非常にきつい。数百万貯めるまでには、数十年かかってしまうから、じいさんになってしまう。非現実的と思う。現実性は意外に大事である。

田舎で出てくる近所の頑固者。彼は結局、あそこだけの登場で終わってしまって、作品の流れに大きく影響していなかったが、それは物語の作り方としては素人くさい。登場が終わる頃には、目立つ死に方が必要。

同じく、山の主は唐突に現れ、なんとなく消えていったが、それでは観客は敬意の抱きようがない。よって青年が敬意を持つ理由も分かり辛いこととなる。基本的な約束事ができていなかった。それともテレビ放映用に削ったのか?

 

 

 

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