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2015年10月 7日

社葬(1989)

Toei

- 東映路線 -

新聞社の権力争いがきっかけになって、会長が入院、さらに社長が急死する。葬儀委員長を務める主人公は、派閥争いに巻き込まれて辞職を強いられる・・・・

・・・・9月29日、衛星放送で鑑賞。実に面白い作品で、3時間近くかかったにもかかわらず、全く退屈しなかった。ヤクザ映画と作り方や流れは全く同じだったように思う。映画の冒頭で、「日本の新聞はインテリが作って、やくざが売る」という文句が出てきたが、まさしくヤクザの権力抗争を、ヤクザ映画のように描いた感じ。

主人公は緒形拳で、キャラクターもそのままヤクザ。色事に熱心な点や、家庭の悩みを抱えている点などが人間らしい。濡れ場もちゃんと用意してあって、部下とのやりとりは漫才かコントのようなもので、娯楽性が非常に高い。

リアルなヤクザ風争い実録路線の作品だったら、観ていて楽しい作品にはなれない。この作品は子供にはマズイ映画だが、いちおうは喜劇に近い性格の、娯楽作品である。面白く、楽しい映画に仕上がっている。

こんな作風は、もしかすると日本だけじゃなく、世界共通で好評をはくすかもしれないと感じた。芸者が出てくる点や、ギャグ、コントが様々出てくることを考えると、万国共通の魅力があるように思う。実際に受けたかどうかは知らないが。

悪役である江守徹は、非常に存在感があった。アクの強い表情や話し方、そして作品の中で演じた流れと個性が実にサマになっていた。彼の魅力が生きてくれば、作品のほうも盛り上がる。いかに彼に皆が義憤を感じてくれるか、その盛り上げ方が絶妙だった。

他の俳優が演じていたらどうなっていたか、少し考えてみた。もっと人好きのする、いかにも好人物で友情にあつい人物ではどうだったろうか?その場合は、友人を裏切ることを強いられ、辛い選択でもって主人公と戦う流れになってしまう。それは、悲劇としては良い流れだが、笑いの要素がなくなってしまう。やはり、憎らしいキャラの同僚が良い。

愛人役の十朱幸代も非常に色っぽかった。彼女のような女優は、今はいないように思う。映画を作る場合には絶対に必要なキャラクターだと思う。色気で上回る女優は多いが、愛され、性格も好かれる可愛らしさと色気を同時に持てる女優は少ない。

井森美幸が意外に活躍していた。遊んでいる時の表情がかわいらしい。演技が上手とは感じなかったが、ちゃんと最低限の役割を果たし、初々しかった。当時はああだったのだが・・・

結末が良かったのかどうか、少し疑問も感じた。派閥抗争の影響で会社が大損失を出して、銀行の管理下になって全ての役員が総入れ替え、皆がくびになる・・・・そんな結末も面白かったかも。

幸いにも大きな会社に勤めたことがないので、実際の派閥争いを経験したことがない。病院の院長を巡る争いや、医師会内部の出世競争には何度か立ち会うこともあったが、自分が当事者になることはなかったので、センスの面で分からないことは多い。

例えば教頭止まりか校長になるかは、退職金に影響すると聞く。でも、大会社の退職金と比べたら比較にならない。深刻さが違うだろう。出向するかどうか、勝ち組に属するかどうかは、気分の面では全くの違いがあるとは思うものの、神経をすり減らすだけの価値がある違いとは思えない。

ただし、こんな考えだから出世しないとも言える。

ソフトバンクのような会社を興せるかどうかは、非常に大きな問題。でもNTTの中で社長になるかどうかは、はっきり言って誰が社長か知ってる人は少ないと思うので、おそらく価値の低い問題。社長になっても、思い通りにやれることは少ない。会社のあり方や、時代の中での存在意義によって、この種の問題の価値は決まると思う。

子供時代の話。クラスや同学年の中で誰が一番喧嘩が強いかは大きな問題。自然とグループができて、番長クラスと取り巻き、友好関係を持つ他のグループ、一匹狼、いじめられる対象など、色分けが生じていた。

争いは自然発生するもので、大人になってもルールが多少変わる中で、全く同じようなグループ分け、対立と抗争は起こるのが普通。争いを避けることは難しい。おそらく聖人君子が揃っても、その中で喧嘩が起こるもののようだ。

ただ、今までの経験で思うのは、戦いに勝った人達が必ず良い人生を送り続けたとは限らない。酷い認知症になったり、家族が犠牲になってもめたり、次の出世に失敗したり、悲劇的な展開も多い。分相応の出世で満足すべき場合もあると思う。

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