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2015年9月10日

大統領の執事の涙(2013)

Butler

- 良き企画 -

農園育ちの主人公はホテルのボーイからスタートし、やがてホワイトハウスの執事になる。歴代大統領に仕えて高い評価を得るが、妻や息子達とは感情的に対立する・・・・

DVDで鑑賞。このストーリーは事実に基づいているそうだが、どこまでが事実かは判らない。執事を紹介したニュースからアイディアを膨らませ、公民権運動を中心とした黒人たちの歴史をテーマに、ある家族を追うというアイディアが良かった。

大悲劇、大活劇ではないが、実に良くできた企画。人種差別、家族の対立と愛情、懐かしい歴代の政治家、それらがストーリーに上手く織り込まれ、悲しく重く、しかも美しい話になっている。よく考えてあった。真実の重みのなせる業かもしれない。話も良く、俳優も良く、雰囲気もテンポも良い。

主人公を演じていたのはフォレスト・ウィテカーで、彼自身が大活躍するわけではなく、ボーイや執事として、実直に働くことが生涯のほとんどを占めているわけだが、そんな彼の家族は彼に反発し、アル中になったり学生運動に熱中したり、主人公を悩ます。その流れが自然に描かれていた。子供との関係は実話かも知れない。

オブラ・ウィンフリーに似た女優がいる・・・と思ったら本人だった。目のあたりが随分と変わっていた。かってはギラギラした目をしていたのに・・・

歴代の大統領役がよく選んであった。ニクソン役はイメージのせいだろうか、随分と厳しい表現だった。逆にケネディ役は格好良すぎる。アラン・リックマンのレーガン役は表情がそっくりだった。ナンシー役を懐かしいジェーン・フォンダが演じていたが、彼女だとは紹介されるまで気づかなかった。

マライヤ・キャリーが母親役で出演していたが、随分と太っていた。彼女は肥満とダイエットを繰り返しているようだが、早死にしそうで体に良くないと思う。チョイ役に過ぎなかったので、彼女が出演する必要も感じなかった。

公民権運動の根深さには驚く。南北戦争でいきなり平等になったかのような勘違いを子供時代はしていたが、警官の暴力によっていまだに暴動騒ぎが繰り返されるのを見ると、完全な解決にはまだ数百年かかるのかも。

人種の違い、見た目の違いは、生理的な反応も関わるから、根深いものがある。一般的に日本人の感覚だと白人は美しいようなイメージがあるが、中には天狗そのもののような奇妙な顔の人もいる。自分の周りに天狗族が住んでいたら、仲良くできるだろうか?見た目だけで難しいかも。

そんな単純な感想が、いまだに人種差別につながるのかも知れない。加えて、長い差別と暴力の歴史、経済的格差なども絡んで、解決策など到底思いつかない状況。レストランの白人用の席に座り込むなど、その場で命を落としかねない行為。よくやれたものだと思う。

ホワイトハウスに勤務していれば、凄い緊張を強いられるはず。秘密厳守はもちろん、自分が敵国の手先とならないかについて、始終チェックが入ると思う。評価の仕方も厳しいものだろう。万が一、買収されて大統領に毒薬でも入れられたら大変だから当然。緊張のあまり、家族がほったらかしになる傾向は、実際にもあるのでは?

ホワイトハウスについて意外に思うのは、脇の道を通って公園に行く際に、入り口の警備が簡素で、例えば10人くらいのテロリストがいっせいに攻撃したら、簡単に中に入れそうな構造だったこと。フェンスも、思い切れば簡単に越えられる高さだった。

執事の家に押し入って、家族を人質に取った場合、爆弾や毒薬を持ち込ませることは充分に可能ではないか?だから、執事の家族が様々な人と普通に交流し、酔っ払ったり不倫めいた行動をとろうなんて、監視員の注目を集めそうで、とても容認できない気がする。

日本の官邸がどうなっているのか気になった。宮内庁の侍従などには有名な方も多いが、首相官邸の場合は首相がコロコロ変わることもあって重みがたりないのか、あまり注目を集めていない。総務省かどこかが雇用して、迎賓館や官邸の間で勤務交替したりしているのだろうか?いずれにせよ、日本の官邸勤務者は映画にはなりそうな気がしない。

官邸の料理人が主役の映画ができたとして、覚え切れないうちに次に代わっていたりする・・・そんなギャグも最近まではありえた。安倍総理の役は誰がどんな表情でやるのか、そのへんは見てみたい気がするが。

 

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