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2015年9月 1日

マルサの女(1987)

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- マイナンバーへの警鐘?-

税務署勤務の女が主人公。ラブホテル経営者の脱税を疑い捜査するが、ガードが固くて失敗。その後、彼女はマルサに抜擢され、問題の経営者と再び対決する・・・・

・・・伊丹監督の代表的作品。当時の伊丹監督の才気あふれる演出に感服せざるをえない。DVDで鑑賞。

アイディアとしては、それほど凄いとは思えない。査察官が脱税を追い詰める話なら、真面目な路線になって、途中ちょっとアクションが入って、主人公が傷つきながらも最終的に敵をおいつめるだろうと予想がつく。でも、この作品は少々出来栄えが違った。

まず、主人公が格好良い男性でなかったこと。ここがミソだった。普通に考えるなら、松田優作のようなワイルドなイメージのワルぶった人物が最適と考えるだろう。客を呼ぶなら松田しかない!と、一般の映画人なら考えるはず。

客観的に考えると、松田でも良かったかも知れない。彼ならギャグもこなして、アクションも様になっていただろう。作品の方向性が随分と違っていたろうが、良い映画が出来ていたかも知れない。だが、伊丹監督のセンスは違っていた。

宮本信子が主演したことで、アクション路線は消えた。基本がコメディ調で、血が飛び散るような場面はないことになった。ワルどもがたくさん出てきても、どこか笑いの要素を持つ人物が多くなる。それに観客が納得できるか、作る前の段階でスタッフに確信があったかどうか気になるが、とにかくそれは成功していた。

次に、敵の存在感。山崎努が素晴らしかった。彼が、この作品の出来を決めていたように思う。過剰におかしくてもいけないし、コワモテ過ぎてもいけない。微妙なバランスだった。

彼が何か足の障害を持っている点も、よく考えてあったと思う。障害者は、基本タフな面がある。自分のハンデを超えて生きていくために、精神面や能力面で優れるように努力を積み、耐えてきた方が多いと思う。筆者が今まで会ってきた方達は、そうだった。タフな面を出すために、足の障害は良い材料。

脱税の手口が見事だった。紹介されたアイディアは、おそらく本物の税理関係者達から得た物だろう。素人には考えつかない手口で、書類やハンコを隠している涙ぐましい行為がおかしかった。

捜査員達も個性が感じられた。津川雅彦は、通常なら犯人側の役柄が向いていたはずだが、ヘヤスタイルなどでの演出が効いたのか、充分に役柄と合致していた。

銀行員役の高橋長英も良い味を出していた。首を横にふるのがクセになったような動作がおかしい。銀行側の人間はことごとくおかしい。嫌らしい応対ぶりや、慇懃無礼な態度。少しずつ違った個性が笑える。

妙な個性の人物達がそれぞれの見せ場をこなした場合、全体を通じてどんな雰囲気になるのか、作品がどうなるのか、その点を監督はしっかり理解していたに違いない。もちろん、監督やプロデューサーは本来皆そうでないといけないのだが、伊丹監督はその点が抜群だった。レベルが違っていた。

本当に惜しいことをした。身辺に気をつけ、様々な専属スタッフをそろえていたら、身を守ることもできたのではないか?

今後始まるマイナンバー制度だが、脱税に関してはかなり阻止効果があるはずと思う。まっとうな取引に関してはそうだろう。

でも、ラブホテルやソープランドでは、金を出した側の記録というのはありえない。領収書を要求する客はいないはず。そうなると、売り上げを操作できるはず。客が少なかったように不正できないとは思えない。数割~数%のどの程度かは分からないが、少なめに申告していると思う。

飲食店の多くもそうではないか?一般の飲み屋などは、領収書を要求しない客が多いはず。1割2割くらいは売り上げをごまかしていないだろうか?商売をやってないので、よくは知らないが・・・

どの程度ホテルの利用率があるのか興味がある。30年前頃は、妙な渋滞で困っていたら、クリスマスイブのホテルの混雑が原因と判明し、呆れたことがある。こちらには大迷惑。せめてシティホテルにするくらいの余裕がないとフラレないか、他人ごとながら心配してしまったが、あの当時からすると最近はホテルが増えて、回転率は減っているのでは?

自家製物品の販売額は、入荷に要する費用がないはずなので、ごまかしは可能ではないだろうか?どうやって収入を計算するのだろうか?結局は一部の金の動きしか追えないのでは?

それに、マイナンバーでは悪用のレベルも格段に進むだろう。単に情報を得るだけではなく、架空取引や商売上のワナに関してはやりやすくなるような気がする。金銭の引き出しのリスクも当然凄くなる。もしかすると、本人に番号が届く前に、既に悪徳業者は番号を把握し、チャンスを待っているかも。

訴えにくい事情がある人物の番号を使い、さっさと預金を引き出す・・・・ありえない話ではない。

 

 

 

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