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2015年9月19日

俺たちに明日はない(1967)

Warnerbros

- 新しい古典 -

米国南部で強盗を重ねながら旅をするボニーとクライドのカップル。兄夫婦や仲間と諍いを繰り返しつつ、警察の包囲網をくぐり抜けてきたが・・・

・・・8月31日、衛星放送で鑑賞。

何度か観た映画だが、今日的な意味についてはよく分からない。公開当時は極めて斬新だったらしい。古い観念やモラルを度外視し、犯罪者達の心理を描写した点が新鮮だったはず。この作品の影響で、その後のドラマが似たようなものになったので、今は普通にしか感じられない。

この作品には原作があるようで、その出来映え、視点が映画を成功させたに違いないと思う。犯罪者をユーモアあふれる人間、勇気のあるヒーローとして人間的に扱うのは、今日では常道だが、当時はそうではなかったようだ。

原作は画期的だったのだろうか?ハードボイルド路線のひとつ、実録にこだわったルポ、そんな作品だったとしたら、本としては特に斬新とは言えなかったかも知れない。もしかするとモデルとなった犯罪者集団が元々人気があった点で、最初からヒットしやすいテーマだったのかも。

加えて言えば、銃を日常的に所有し、ボニー達以外にも様々なギャングどもに慣れている米国民は、感覚的にボニー&クライドに共感しやすい性格を持っているのかも。誰だってすぐに彼らの立場に変身することは可能と言えるから。

日本でだと、彼らのような武器を所有することがまず難しい。警察や機動隊とは装備の面で段違いに劣る。逃げることも難しい。州の境がないし、道も一本道であることが多い。目立ちたがりの歌舞伎者的な犯罪者は多いが、武器の面で彼らとは違う。

フェイ・ダナウェイが、この作品の中で最も魅力的に思えた。かなり一貫して悪役を演じた女優だったが、この作品は事実上のデビュー作だ。退廃的な雰囲気や、スタイル、自然な演技が素晴らしかった。

今日見ても、彼女の演技は非常に自然に見える。演技臭さがない。後年、「ネットワーク」などの時のほうが、むしろ演技の臭いがした。

彼女がなぜ犯罪者と旅をするのか、その点が非常に大事だったと思うが、映画の冒頭で自分の人生に退屈しきっていること、格好の良い犯罪者ぶりに見た目で惚れていたことなど、分かりやすく会話でも表情でも表現されていた。

表情だけで曖昧にしなかった点は良かったと思う。その点で失敗した作品は多いから。

C・W・モス役はマイケル・J・ポラードという俳優さんだが、よく探してきたと感心する。兄嫁役のエステル・パーソンズの悪役ぶりと併せ、この作品の主役達は本当に実力のある俳優が揃って、リアルだが分かりやすい演技で、物語を解説してくれていた。

この作品はまだ古めかしくなっていないように思うのだが、子供には見せたくない種類の映画。恋人と見るのも、雰囲気としては殺伐としたものが生じないとも限らないが、古典的な傑作を見る充実感から考えるなら、お勧めなのかも。

 

 

 

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