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2015年8月15日

アメリカはいかにして日本を・・・・続き

アメリカはいかにして日本を追い詰めたか(ジェフリー・レコード著)続き

疑問点⑥・・・米国の正しい戦略は

日本を戦争に追い込み、開戦させて戦争に参入する方針はうまく行った。その後日本を支配して基地を確保する政策も、結果的に成功したので間違っていなかったと思う。

でも米国にとって望ましい戦略は、きっと別にあったと思う。ただし、劇場主は当事者じゃないので適当なことを言えるだけ。実際に判断する立場になり、真面目に考えたら、その緊張度は計り知れない。考えすぎて、神経をおかしくしそうだ。戦争に絡む問題では正しい、望ましい・・・といった表現は適切ではない。戦闘が生じたら、基本的にすべて失敗、罪、悪行のはずだ。

私が、その悪徳大統領の立場なら、艦船を大量に欧州に対して派遣し、しつこく英国を援助してドイツに攻撃させ、被害を派手に宣伝して欧州の戦争に参画したい。海上を米国の艦船で埋めれば、偶発事故は起こるだろう。それによってドイツやソ連が欧州を支配するのを避ける。これは実際の戦略も近いものだったはず。

いっぽう日本へは慎重に禁輸対象を拡げ、圧力をかけて中国との戦争を邪魔したい。日本は困窮する。中国に対しては、少ししか援助しない。後々で米軍が中国に進駐する際に、中国のゲリラから攻撃されると障害になるからだ。この点を忘れると、イラクのようなことになる。朝鮮戦争でも、このパターンの失敗があったはず。

日本とは輸出制限だけで勝負は決まるのであり、深入りしての無駄な損害は避ける。そのために追い込み過ぎないで、真綿でクビを締めるがごとく、徐々にやる。譲歩しないなら、少し制限を強めることを繰り返す。ドイツが倒れれば、さすがの日本の首脳部も目が覚める・・・・と思うのだが、甘いだろうか?どうあっても、日本は宣戦布告して来たかもしれない。

極東において米国に大事だったのは、ソ連の南下阻止と考える。ソ連軍は関東軍の3倍程度の人員、圧倒的な火力を持っていたはず。力量の違いはノモンハンの戦闘でも明確。極東の陸軍で最も怖いのはソ連軍であって日本軍ではない。よって、日本を追い詰める意義は低いと判断。

普通に考えると、国民党を援助し中国共産党は解体したい。中国とソ連軍がにらみ合う状態か、中国と日本とソ連が三すくみの状態で、中国の要請によって米国が投資できることが望ましい。できれば日本軍をソ連への防波堤役にする・・・これは、安全策と思う。実際に米国がたどった道は違うが、実際のほうが妙な戦略だったのではないか?

日本を敵視して、米国にどんな利益があったのか分からない。基本は資源がないのだから、日本が大国化することはない。あるとすれば、米国の同盟国としてだけだ。植民地や市場としての価値も、資源がないから疑問。そんな国を支配する必要はない。便利な傭兵軍団、支配下の同盟国で充分。資源でコントロールできる同盟国は便利。

現状の日米関係を見ても、ただの同盟国とそれほど変わるところはない。万単位で米軍兵士の犠牲を生じたあげく、政治的支配権を確立し、基地を確保はしたものの、それに見合う意味があったのかは分からない。日本海や東シナ海の支配権を確保できた点は正解だったとは思うが・・・

最悪のシナリオは、日本とソ連が共闘してしまうこと。スターリンはその思惑を持っていたという説もある。そうなっていたら、米国にとっては非常にまずかったろう。冷戦に負ける可能性だって否定できないほど。ソ連にとって最大の敵は米英で、日本とソ連の協力を避けるために、米軍は日本を追い詰めないほうが良いと思う。

結果として戦後に東アジアが共産化したのは、間違いなく米国のおかげ。今日の中国共産党政権を作ったのも米国の戦略の成果だと思うが、意図してそうしていたのだろうか?おそらく、どこか間違った戦略の結果ではないかと思う。あるいは、中国の支配は困難と最初から判断しただけだろうか?

国際会議に中国首脳を呼んだ理由もよく分からない。呼ぶと発言権を与えてしまう。当時の国民党は米国の同盟者だったが、発言権まで与える必要はないはず。どんな理屈で呼んだのだろう?直ぐに投資できる状況だから、厚遇しようと思ったのか?もしくは、あれも理想主義のなせる間違いだっただけか?分からないが、おそらく何か判断ミスをしたのでは?

ただし、米国のビジンスマンは失敗しても常に覇道の再建を目指すと思う。強欲にキリがない。日本をまず支配化に置き、朝鮮半島や中国ににらみを効かすことを優先。後は数百年かけて影響力を増していけばよい・・・そんな考え方もある。日本の運営に関しては成功した。支配下の政治家を支援して手先の軍隊を動かせば、東アジアにおける覇権は米国側にある。米国は、何も間違っていなかったのかもしれない。

疑問点⑦・・・日本がとるべきだった道

日本がどう考えようと、資源と資本の大半を握っている国が圧力をかけてくれば、判断しようがない。忍従してチャンスを待つ・・・それが基本方針だったと思う。中南米諸国やフィリピンの状況を見れば、米国のやり方は明白。政治的、経済的に脅迫される運命は覚悟しないといけない。下手に反発すれば経済的に破綻し、誇りも失うし、占領の恐怖におびえ続けるしかない。

圧倒的な勢力に戦いを仕掛けられた時に、いかに優秀な人物でもしのぐことは難しい。覇権国家は、圧力をかけ続けるのにためらいがない。強欲に満ち、要求し続けるのが仕事と考えている。当時の日本の指導者を悪く言うのは簡単だが、自分が当事者になった時に上手くやれる自信は劇場主にもない。よほどなウルトラCがないかぎり、結局占領されていたのではないか?

打開策としては・・・・超大国相手に期待できる方法は少ないと思うが・・・どこか英国のような国を味方につけて、なんとか人道面から米議会と交渉し、直接の攻撃、経済封鎖を避けるのが基本だったかも知れない。対立の激化を望んでいない姿勢を、米国民向けに分かり易い形でアピールすべきだった。そのためには中国への野心を捨てないといけないが。

危険な状況から脱却を図る・・・そのためイチかバチかの開戦という考え方は、国の運命を扱う時にやってはいけない。理想は、過剰な野心を最初から捨てることだと思う。破綻は避けつつ、国力の損失は最小限に留め、挽回のチャンスを待つ・・・・待っても助からないことは多いけど、自暴自棄は最低。

最初から日米の関係を悪化させないことも重要だった。欧米の間隙を縫い、おこぼれを得て、少しずつ権益を増やしていくのが明治以来の戦略の基本。急激に支配権を拡げると、反発もより強いのが道理。元々、支配権を得るのに抵抗がないはずがないのだから、慎重を基本にしないといけなかった。急成長で、驕りの心が根付いてしまったのだろうか?

また、例えば日本の首脳個人の立場、個人的な事情によって判断する面がないなら良いが、実際は予算獲り合戦、出世競争などが主な動機付けになっていたかもしれない。クールに判断した様子がない点が気になる。クールなら、多数の軍人が開戦に反対して大騒動が起きてないとおかしい。国民の運命より、自分の都合の方が気になっていたと考えられる。

日本は不況の打開策についても経験不足で、どうしてよいか分からなかったに違いない。今日だって学者がバラバラのことを言ってるくらいだから、より未熟だった当時、打つ手がない状況だったろう。欧米には植民地があったから、ブロック範囲を広げることが方針と思われていたろうが、日本は状況が違う。力量を忘れてはいけなかった。

そもそも急成長することは、リスクを増やすことでもあるので本当は避けねばならなかった。バブルの後の低迷は辛い。戦争特需が続くはずはない。好景気の後の不況は最悪で、無茶な行動をとる連中を生んでしまう。今日見れば理性が働かなかったように思える軍人達の行動も、おそらく当時の経済状況を思えば、心情的に理解できる。不安定化すると、極論に支配されやすいもの。

解決策がない不況に陥ると、権益を独占する欧米資本が人類の敵と思える。欧米に反発する感情から、日本も広い経済圏を作りたい・・・そのような野望が生まれるのは自然かも知れない。今日でも欧米のグローバリズムに反発する感情は、ISを始めとして世界中で自然発生している。当時だってそうだったろう。

とは言っても現実の戦いとなれば、無茶はいけない。感情に流されず、自分の力量と相手の状態を考えないと、破滅が待っている。それを含め、戦い方の原則を士官学校で繰り返し学習させておくべきだった。

根底となる状況認識は大事。当時まで日本が独立できていたのは、資源がなくて侵略する魅力がなかったのと、たまたま攻めにくい地形であり、プランテーションに向かない気候、それに近代化が早くて占領しにくかっただけのはず。明治の元勲がどれだけ偉くても、日本に資源があったら絶対に占領されていた。いざ列強との戦いになれば、封じ込まれるのが当然。

特に米国からみればそうだ。黒船の時代には米国の軍事力も限られていたが、大戦の前には航空機、輸送船、武器も凄く進歩し、征服は現実的になっていた。強大な相手が誕生したら、対処法も考え直さないといけない。さっさか日米で同盟しておくと理想的だった。せめてスキを作らない努力は必要だろう。

日本軍は、資源が枯渇してジリ貧にならないように早期に開戦することを考えたという。戦いが続けばゲリラ戦に持ち込むしかない。そうなると、被災者の数は桁違いに多くなる。したがって短期的には早期の開戦にも意味はあるが、クールさに欠ける。相手が超大国の場合、基本は守る戦いになる。戦線を拡げないことが原則。日本の首脳は論理が短絡的すぎたし、戦略的統一性、一貫性がなかった。

当時の判断が、いまだに尾を引いて諸悪の根源になっていると思う。こうなるのが占領の常で、当時から今日を予測して行動すべきだった。もっと敵を知っておれば、敗戦になろうとも被害を減らし、5-10年くらいの苦節の後に、もっと優位な立場を持てたかも知れない。

疑問点⑧・・・戦国や暴力団対策を参考に

正しい戦い方はどうだったか考えると、過去の戦術、戦略と比較する作業になる。戦国時代と比較できる部分はある。

戦国時代と現代では武器も戦い方も違う。空から爆弾が降って来ることは、昔は考えなくて良かった。戦闘の方法に関しては参考にならない。でも、共通点もあると思う。帝国主義的要求や、力による理不尽な処遇は同じ。植民地化のように、支配者が替わって搾取されることも同じ。

大阪冬の陣は、いいがかりに近い問題によって始まったと聞く。攻めようと考えている勢力は、どんな手を使ってでも攻めてくるもの。米国の要求も、相当に酷いものだった。もし敵が攻めてくると分かっていれば、武器を準備し、食糧を備蓄し、隙を与えないよう慎重に行動するのが普通。

言いがかりの専門家である暴力団には、因縁をつけられないよう、互いの距離に注意し、言動や目線にさえも用心が要る。安易に相手を出し抜こうとは考えない。対処法は決まっている。ゴロツキの最高レベルの存在が、帝国主義国家と考えれば良いと思う。常識が通じる相手ではない。

日本側の危機管理に疑問点は多い。石油や鉄の禁輸措置に対しての対応策は考えなかったのだろうか?数十年も前から、米国は仮想敵国の一つ。禁輸されたらどうなるか、簡単に予測できたはず。備蓄や、何か他の対抗策を考えていなかったのだろうか?そもそも備蓄は、当時は予算的、技術的に難しかったのだろうか?

当時は帝国主義の時代。資源を一箇所に握られたら、相手に自ら支配権を与うるに等しい。ヤクザに借金することに等しい。相手は仮想敵国で、数十年単位の兵糧攻めをやるのも平気な国。それなら、もはや最初から負けは決まっている。そんな状況で、ためしに開戦するという選択があるだろうか?

当時の世界の覇者であった米国は、絶対に敵対してはいけない相手。正面切って攻撃を受けないように細心の注意を払い、生き残りを図るしかない。幕末もそうやってしのいできたのである。元勲たちの伝統に従い、しぶとく立ち回るべき。分不相応の権益を狙うあまり隙を作り、とうとう尻尾をつかまれたのか?

初めて経験したブロック経済には、当然ながら慎重に対処すべき。 主な通商相手国からの禁輸措置というのは最悪で、通商が止まれば究極の苦境に陥る。戦国時代だと、複数の国に包囲された状況が近い。その場合は対処法が分かり、生き残りの目処が立つまで、苦しい立場でも我慢が必要。信玄や謙信でさえ押したり引いたり、逆転したりされたりを繰り返していた。勇ましい勝利だけじゃなかった点を思い起こすべき。

仮に中国の戦線を縮小していたら、どうなったろうか?完全に撤退しないとしても、米国の要求に近い形でやれば、米国の世論は日本との戦闘に納得しにくいと思う。それくらいしか狙い目がない。少なくとも、日本側が挑発に乗らない限り、開戦は遅れる。もちろん、日本の世論も黙っていない。政府は転覆する。でも、国の破綻は避けられる。

超大国米国との戦争・・・そんな時に呑気にしてはいられない。戦力を集結し、効率的に動員して切り抜けないといけない。例えば今川軍が迫ってきた時に、信長が美濃の斉藤軍に対して兵を分けていたら、それこそ完全にウツケものの所業だ。でも日本軍は、そんなことをやってしまっている。

中国での権益は、そんな不利をも上回るのだろうか?そんなに豊かな市場で、資源も多かったのか?当時の住民に購買力があるとは思えないし、石油はほとんど出ない。それなら後退しか選択肢はないはず。日本のブロック経済圏は縮小するが、勢力圏というのは常に押したり引いたりするもの。固執して壊滅するのは最悪。

撤退は日露戦争の成果を捨てることだから、戦略面はともかく、心情的に許容できないといった意識だっただけだろうか?戦国時代でも、苦労して得た領地を失うことは多かったはず。国替えに反対して家康が暴走していたら、徳川家は滅亡していたはず。生き残りのためには何でも捨てるべき。

まあ、いまさらどう考えても仕方ない。今後、間違った決断を下さないように、分析能力を磨いて欲しいと願うだけ。今の首脳は能力を磨かれているかと言うと、ほとんど変わっていないように思える。

疑問点⑨・・・今日の日本政府の考え方。

今の政府首脳の考え方はよく分からない。当時と違って、軍部がクーデターを起こす危険性は低いので、戦略的な考え方をして良いと思うのだが、青年将校のノリの人物が多くないだろうか?

太平洋戦争前のレベルで考えたような口調が目立つのが怖い。妙な幻影に酔っていないか?沖縄の新聞を批判した議員がいたらしいが、見識を疑わざるをえない。戦争の現場をイメージして行動している人は少ないと思う。空想の世界に酔っているかのような印象。

軍備に関してはもしかすると、支配者である米国の要求が強硬で、何も拒否できないだけなのかもしれない。あるいは‘抑止力が必要’といった言葉が頭から離れず、本当に出来るかといった分析が後回しになっていないか、その種の誤謬がまた繰り返されていないか気になる。

今の日本は、自衛隊員でも実際の戦闘を経験していない。評論家や学者、政治家も、実戦を知らないで、指導的な立場に立ってしまっているはず。真の専門家がいない状況と考える。あらゆる議論が、空理空論に陥りやすいのは当然のこと。

過去の戦争でも抑止力を持とうと各国が工夫していたはずだが、失敗例が多い。同盟や要塞、核兵器でさえ抑止力には限界がある。抑止力とこちらが思うものは、敵にとっては攻撃力である。同盟関係を強固にすることも、敵対する意志を明確にする意味になり、挑発に近い行為と考える。

仮想敵国の軍拡のスピードを考えると、ただ対抗するのには無理があるように思う。どう生き残るかを優先し、こちらが強硬な態度と思われないようにすることも考えたほうが良い。弱腰と批判されるとしても、駆け引きを忘れてはいけない。目立った言動は避けたほうが良くないだろうか?首相が演説で仮想敵国を非難することは、感心できない。

日本は食糧も資源も輸入に頼る国で、それは戦前と同様のままで、空と海上を封鎖されれば戦いようのない状態は変わっていない。米国や中国は単独で日本を封鎖できる力があると思う。ただし封鎖が長引くと、おそらく敵は財政的に無理するから、評論家が言うようなシナリオは非現実的と思う。

 

 

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