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2015年8月23日

毎日かあさん(2011)

Syochiku_2

- 自虐ネタ -

漫画家の主人公と、その家族の物語。主人公の夫はアル中で、入退院を繰り返している。主人公は仕事をしながら、子育てする日常・・・・

・・・・険悪な表情の人物が登場するギャグ調漫画と違い、この作品は非常に深刻な内容の、悲喜劇であった。7月14日、衛星放送で鑑賞。

題材は原作漫画の作者西原理恵子氏の、実際の子育て、離婚経験らしい。想像するに、実際のヒロインも相当に過激な人物ではないかと思うが、誇張があるのかも知れないので、よく分からない。

小説家の柳美里氏も非常に独特な文章を書くが、あれに近い自虐私小説風の内容。書き手にも大変な個性が感じられる。性格破綻したかのような人物が登場し、非日常的な体験が日常となっているかのような生活ぶり。

おそらく、実際にヒロインのような人物が幼稚園の父兄の中にいたら、悪い評判が立って孤立しそうに思う。アル中の夫が出てきたら困るからといった理屈で、遠ざけようという家族はいるかも知れない。その辺は作品には出ていなかった。

この作品は子供に良い影響を与えないような気がする。基本は大人限定の作品。恋人と観て楽しい映画とも思えない。おそらく、ママ友や同性の友人などと観るのが最適の鑑賞パターンではないかと想像。漫画も同様の人達が読者の対象では?

独特な視点がおかしい。ネコを下から見たり、子供達の陰部を下から眺めて感想を述べるなどのシーンは笑える。子供達の冒険ぶり、夫の滅茶苦茶な行動もおかしい。

主人公を演じていた小泉今日子が実に素晴らしかった。アイドル時代には全く考えられない存在感に感心した。不機嫌そうに黙っているだけで、絵になっている。あの演技スタイルを確立できたことが、今日の彼女の評価につながったのだろう。

元々が整った顔立ちなので、真面目な顔をすると怖さが出る。特に眉毛を細くした時がそうだ。そこに、世間をすねたような、半分ヤケクソのような言動を重ねると、その人物の焦燥感やイライラした心情がよく出てくる。観客にも経験がありそうな不快な心情が、共感を持って理解できる。誰でも、結構いらだつことは多いのだ。

実生活で離婚したことも、この雰囲気形成には役立っていると思う。幸せな家庭を築いていたら、役が嘘っぽくなっていただろう。

また夫役の永瀬正敏も実に存在感があった。彼は若い頃から役者バカの印象が強かったが、今回の役でも実際の人物としか思えないほどリアルなアル中ぶりだった。

子役も実に素晴らしい演技ぶり。近年観た子役の中でも最高に自然な印象。兄役のとぼけぶりや、妹役の甘えた声などは実に素晴らしいものだった。昔の子役とは全然違う。子役文化も進化しているのでは?

禁酒のための入院を繰り返しながら、直ぐにアルコールに依存してしまう様子がおかしく描かれていたが、やはり病的なギャグであり、自虐的で毒々しく、悲しみを伴う笑いで、独特の雰囲気。描く方にも病的な感覚、依存性か何かがないと理解し難い、何か特殊な性格を感じた。

原作者も、ある程度はアル中ではないだろうか?なんとなく、そんな気がした。

かくいう劇場主も酒をよく飲むが、水割り1~2杯くらいが適量。酒量がちょっとでも多いと、翌日は倦怠感が強くて仕事が辛い。そのせいで、徐々に酒量が減っている。

以前は依存症患者なみに大量の飲酒をしていたが、あの頃の自分の感じ方が、いまだによく理解できない。いろんな不満を持っていた点は、酒に依存した理由だとは思う。酔っている間の興奮、高揚感、幸福感は、やはり依存形成に関係していただろう。

ただし、当直などで数日病院に泊まって、その間酒を飲めないと何かおかしくなるかというと、緊張状態のせいか、自覚的な調子は変わらない。疲れは激しいが、禁断症状が出るわけでもなかった。あれがリハビリになっていたのかもしれない。そうなると、重症患者が主治医である劇場主の依存状態を、逆に治療していてくれたことになる。感謝しなければ。

 

 

 

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