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2015年8月26日

あげまん(1990)

Toho

- 欧州風 -

主人公は男を出世させるアゲマンと噂されている。僧侶、政界の大物、銀行員、総理候補などが入り乱れて彼女に関わる物語。

ドラマらしい構想、筋書きで、作品の完成度の高さ、監督スタッフのセンスの良さを感じた。普通に考えるとドタバタコメディになりそう。でも、どちらかと言えば悲劇と言えるほどのストーリーにしたのは、監督の個性、センスのなせる業だったのではないか?

他の映画監督だったら、絶対にドタバタコメディになっていた。彼女の運にあやかろうと、大勢の男達が互いを出し抜こうと複雑に絡むのがストーリーになる。上手いだまし方に笑うのがパターン。

でも単純なドタバタでは、やはり後味の面で好ましくない。欧州映画人のような感性を持つ監督は、そんな愚行を犯すことに、プライドが許さなかったのではないか?爆笑ドタバタ路線も、劇場主個人は嫌いではないので、この作品のペースには少々不満も覚えるが、これこそ伊丹流なんだろう。

独特の品のなさはある。昔からの花柳界で実際にあったような下品さではないかと思う。酔っ払った社長連中が、品のない踊りをして芸者達が囃す・・・そんな楽しみは、欧米人がいる場所では禁物。でも日本の上流階級は、皇族を除けば農民階級から発しているので、基本は下品なことが好き。宴会の雰囲気が上手く再現されていた。

この作品は公開当時から知っていた。劇場には行かなかったが、気になっていた。実際に観てみて、家族で楽しむタイプの作品ではないし、恋人と行くのもちょっとまずいような気もして、企画としては大ヒットにつながりにくい印象を持った。少し味わいを変えたほうが良かったかも知れない。

よくは知らないが、おそらく花柳界に伊丹監督は馴染みがあったのではないか?有名人の子息だし、自身も若い頃からマルチ俳優として知られていたから、早くから遊びを知っていたのかも知れない。あるいは、詳しい人物に頼んで、演出が自然になるように監修してもらっただけかも知れないが。

アゲマンに周囲の人間が絡んでいく物語は、たぶん実際にもあったのではないか?伝説のような女性がいて、彼女の旦那になった人物はこうなったのよ・・・といった噂話は必ずあったろう。そこから、映画に使うアイディアが発生しても不思議ではない。

もし、次々と男達が迫ってきて、交替で出世していったらどうだったろうか?それはそれで楽しく、冒険的な魅力のある話になっていたかも知れない。男同士が激しく争い、主人公のアゲマンも引きづられる展開は面白いと思う。別なストーリーもありえたと考える。

昨今の芸者さんは、どんな生活をしてるのだろうか?時々テレビのドキュメンタリー風の番組で紹介されているようだが、観る暇がないので内容は分からない。知り合いに芸者なんていないし、実物を見たこともない。

身受けされた後、主人公のように何かの職場に出ることはあるのだろうか?旦那が急死してしまったような時は、おそらく普通の職場での仕事するには無理があろうから、元の置屋に戻るケースが多いのでは?あるいは、仲良しの芸妓がいないといった理由で、飲み屋に勤めたりする人もいるのかも。

主人公のように家の権利をもらっていれば随分と楽だろうが、そこまで甲斐性のある旦那に恵まれないケースも多かったのでは?旦那が急死して、何も財産がなく、家から追い出される・・・そんな悲劇は、テレビドラマでは何度も見た。実態は知らない。

 

 

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