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2015年6月 6日

パワーゲーム(2013)

Relativityetc

- セキュリティ問題 -

IT企業の下っ端社員の主人公は解雇されたうえに、スパイとなってライバル企業の情報を狙うよう脅迫される。苦労して情報にありつこうとする主人公だったが、さらなるワナが待っていた・・・・

・・・・DVDで鑑賞。タイトルのイメージから、あまり期待しないで観た。以前、トム・クルーズ主演で、有能な弁護士がワナにはまる「ザ・ファーム」があった。流れとしては、あれとほぼ同じ。より今日風に勤務先はIT企業になっていた。原作がベストセラーだったそうだ。

おそらくセリフにもあったが、根底となる感覚である「一部の大金持ちが別世界での豪遊を楽しみ、下層の人間は病院にもかかれない。」・・・そんな認識が作品に感じられるのだろう。下層の人間の懸命なトライに共感する人は多いのでは?

企業のセキュリティの方法が面白かった。金庫の鍵に相当する仕組みもSFチックで興味を惹く。秘密会談の前に携帯電話の電池を抜くのが、今は普通のことなんだろうか?先端技術で稼ぐ企業の場合、情報管理は死活問題。凄い警備をしているんだろう。

これは、家族で楽しめる作品とは思えない。子供に向かないと思う。でも恋人と観る映画としては悪くない。意外なほど緊迫感が保たれた印象を受けたので、演出の出来栄えは悪くなかったはず。でも、この作品は興行面では惨敗だったらしい。子供受けするくらいでないと、ヒットはしないものだろう。

怖さを前面に出すのは、お勧めの営業戦略だった。仲の良い友人が殺される。拷問をチラつかせられる。性格の悪そうな人物を動員して、恐怖におののく主人公を強調しても良かったかも。もしくはアクションを強調するか。何かのウリが欲しかった。タイトルも何の映画か分からないので、代えるべきでは?

主人公のリアム・ヘムズワースという俳優が素晴らしかった。兄のクリスよりもハンサムで知的な雰囲気があり、より繊細そうな印象も受けるので、こんな役には合っていた。逆に言えば、トム・クルーズほどの個性はないように思うので、大スターになれるかどうかは分からないことになるが、たぶんアクションも芝居もこなす能力は確実。

同じく二枚目のアーミー・ハマーと個性がかぶってしまう部分も感じる。ハリウッドでは神々しいほどの二枚目は当たり前なんで、違いを見せるためには、体力的に有利なアクションも必要だろう。

共演の俳優には大物が多かった。ハリソン・フォードが随分と老けた役柄で、歩き方がかっての宇宙戦士とは全く違い、ヨタヨタしたような印象だった。膝が変形して、背中も相当に曲がってしまったようだ。

でも、彼は元々は悪役向きの表情が売りの俳優だった。「アメリカン・グラフィティ」の不良役は、気取った笑顔で主人公達を挑発していた。スターウォーズでも、一種の悪役であった。悪役の集大成としては、今日的には大企業の重役が最も望まれる。その意味では雰囲気が出ていた。ただし、凄く狡賢そうな印象は、あんまり受けなかった。怖さが欲しかった。

ゲイリー・オールドマンは役柄と個性がばっちり合っていたと思う。かってのような狂人めいた悪役を演じるには、さすがのオールドマンも齢をとりすぎた。でも、あくどい企業家なら、今の彼には最適の役だろう。

アンバー・ハードがヒロインの役だったが、今回はあんまりアクションをこなすわけでもなく、冷酷さで主人公を苦しめるわけでもなく、少し期待外れだったかも知れない。共犯として怖いことをするか、もう少しスパイめいた活躍をしても良いのではと、ちょっと思った。

IT業界の変遷は非常に激しい。新しい技術が出ると、応用、転用、さまざまな形で技術が進歩していくもののようだ。日本だとライブドアの急発展、あっけない瓦解が一番目立ったが、世界的にはマイクロソフトやグーグルのような企業が、技術と権利を売り買いして巨大化していったことが最も大きな流れ。

マイクロソフトが大きくなれたのも、ウインドウズの基本技術を買ったり、吸収合併といった企業的行為が功を奏したらしいので、ただただ新しい技術を生むのではなく、権利の購入、買収の判断が結局は生き残れるかどうかにかかってくるらしい。

動く金が大きいので、スパイ行為や裏切りは日常茶飯事だったろう。ソフトなどは簡単にコピーできるだろうから、開発者の仲間の誰かが他の会社に売って、自分もそこの役員になるという例は多いのでは?やがて、そんな行為をしようにも技術が高度化しすぎたり、セキュリティ技術の進歩によって盗むことが難しいなど、形態は変わっていくものだろうが。

5月初旬に、年金の情報が漏れてしまったらしい。

年金機構といえば、情報の照合に不都合を生じて大問題になったことが記憶に新しい。今度は、情報を外部とつながったパソコンで見てしまうとか、パスワードをつけないとか、およそ基本を外れた行為が原因らしい。

繰り返し不祥事を起こす理由は分からない。緊張感に欠けた職員が多いことは間違いないが、上層部にも能力的な欠陥があるはず。おそらく、今の職員達の多くは、子供の頃からパソコンに習熟していた世代ではない。理論から理解していれば守るセンスもあると思うが、要するに使い方の真髄を知らないのでは?

抜き打ち検査や、端末の管理などは、定期的にやらないといけない。職員の自主的管理に任せていては、必ず手抜きが生じる。「絶対に情報を外部と連結しないように。」と指示しても、言葉だけではダメ。必ず分からず屋がいて、「でも、これは漏れっこないでしょ。」などと勝手な判断をするものだ。

管理には、強制力が必要。持ち込まれる物は、総て定期的に第三者からのチェックが必要。個人の端末やスマホに、重要な情報が入ってないか、確認しないといけない。

今後導入されるマイナンバー制度は、どうやら大規模な悪用を生みそうに思う。きっとハッキングを狙う愉快犯、本物の犯罪者がたくさんトライしてくるだろう。セキュリティが不完全な初期の段階で侵入するのが有利と考えるだろう。それに役人を抱き込めば、たやすく情報は得られると思う。どこから入手したか、分からないようにすることも可能かも知れない。

情報を守るためには少なくとも、役所に行かない限り、年金の情報と資産、健康の情報が照合できないシステムが必要だし、中央官庁が審査のために情報を探る場合も、裁判所か弁護士団体など、第三者の認定を要する仕組みがないといけない。

ビッグデータ管理の専門家が、医学雑誌に時々コメントを載せている。でも、説得力あるセキュリティ対策は書いていない。理念ばかり述べている印象。大事なのは、悪い事態を想定し、それに対処する考え方。悪いことを考えると、それが言霊になって実際に起こるから言うな、聞くな。雰囲気が悪くなる・・・そんな態度が垣間見れる。

専門家の気持ちなどに価値はない。年金機構内部での会議でも、人間関係など考慮してはいけない。敵は愉快犯か本物の強奪者であり、冷酷かつ容赦ない悪魔的存在であり、危険性を総て排除し続ける・・・・そのような態度が必要。

漏洩した場合の罰則も、怖ろしさを感じるくらいの規定が必要。禁固刑は確実にしないといけない。

 

 

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