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2015年6月 3日

戦国自衛隊(1979)

Touhoutouei

- 基本的態度 -

自衛隊の部隊の一部がタイムスリップした。着いたのは戦国時代。長尾景虎と親しくなった隊長の伊庭は、天下獲りを目指す・・・

・・・5月26日、衛星放送で鑑賞。公開の時には大評判になった。角川映画特有の宣伝戦略に踊らされた影響が大きかったろうが、マンガやテレビ、雑誌類では大々的に特集が組まれ、薬師丸ひろ子の画像がたいていの少年誌に載っていた。

薬師丸は、ほんのちょっとしか登場しないのに!

筆者(劇場主)は観に行かなかった。まさか、観に行こうとも思わなかったという感じ。当時だと「マッドマックス」のほうがクール。日本製のSF映画では、技術的に限界があろうとタカをくくっていた。かなりの興行成績をおさめたようだが、凄い黒字にはなっていなかったようだ。

アクション作品。ストーリー展開や、登場人物の心理描写などは適当にやっていたような気がする。半村良のアイディアを借りて、千葉中心のアクションで売ろうという考え方だったと思う。アクションに関しては本当に素晴らしい。千葉自らが、馬に乗ったまま弓と矢を拾って戦うシーン、馬たちが爆弾で吹っ飛ばされるシーンの迫力は、ハリウッド映画だってそうそうやれるもんじゃない。

戦車やヘリの迫力は、あんまりない。本物はもちろん借りれないから、戦車のシーンはハリウッドに出張して撮影すべきだったと思う。予算が足りなかったのだろう。銃火器の力を演出の核にするのは難しいとなれば、カメラの配置、視点を変えて、やられる側の目線で撮影するなどして、恐怖感でもって迫力の演出をしたほうが良かったかも知れない。

隊員達がすぐに自由行動をとりはじめたのは気になった。よく判らない危険な状況では、普通の隊員なら単独行動を止めるはず。勝手に部隊を離れたりするのは、戦闘の終末期だけと思う。ドラマとして面白くなると考えて、あのように行動させたのかもしれないが、リアルでなくなった弊害も大きいと思う。

想像だが、少ない人数で懸命に生き残りを図る隊員達を描いたら、素晴らしい感動作が出来上がって、興行的にも成功していなかったか?企画に対する方針が本来とは少しずれていたのかもしれない。この作品の製作における基本的態度が、間違っていたのかもしれない。

本は読まなかったが、原作では確か千葉が織田信長だったという流れではなかったか?ただの勘違いかもしれない。今川義元をヘリで攻撃したりしたら、話が面白くなっただろう。大勢の敵に囲まれて懸命に戦ううちに、気づいたら織田信長と呼ばれていたなんて、悪くない流れだと思う。

夏八木勲の演技が凄かった。彼が出た作品の中でも一番格好が良かったかも知れない。無茶なことをやる強引さと、勇敢で冷酷な戦いぶり、苦渋の決断をやった後の表情、どれも抜群だった。

Photo

千葉真一も素晴らしいタレントだった。眼力や体力に関しては、三船敏郎も敵わないと思う。残念ながら二級品映画が主な活躍の場になってしまったが、演出や脚本によっては、悲劇の名将として魅力的な人物を演じることができたかも知れないと思った。本当に惜しいと思う。

懐かしい小野みゆきや岡田奈々が出演していた。非常に若々しく美しいのだが、少しわけのわからないキャラクターでもあった。全体に理解できない方針で作製された映画。かなりのエログロ路線。子供には勧められない。

でもって、今国会で審議されている法案だが・・・

現地に行った隊員達は、この作品の隊員のようには行動しないと思う。この作品の隊員は酷かった。早い段階から隊長を無視して勝手に部隊を離れるし、隊員同士で殺しあったり、村を襲ったり滅茶苦茶。

規律が守られた状況なら、たぶん住民を虐殺したりはしない。急に予想外の形でテロを受けた場合、隊員が拉致された場合、孤立して戦わざるをえなくなった場合など、逼迫した事態の時が問題。どう行動すべきか、隊員が考える必要が無いように決まっていないといけない。

それに、敵も自衛隊法を研究してくると思う。攻撃されない形で侵入してこようとするだろう。そこから急に態度を変えてこられたら、隊員達は一方的に攻撃されることになる。「こんなバカバカしい法律を作った上層部や政府は役に立たない!」と認識するだろう。その時が問題。もう政府や上官の命令には従えないとなると、クーデターが起こりかねない。

厳しい判断を要求される地域への派遣、偶発的事故が皆無とは思えない状況、そこで政府が判断を誤れば、それが隊員達を憤慨させクーデターへのきっかけになる。その危険性を高める法案を論じてる現状。

どんな状況にも対応できる法律が望ましい。少なくとも、それを目指すべきと思う。どう対応するかは、政府がその時に判断・・・・そんな法律はないほうが良い。

煽ったり、はぐらかすような質疑応答は、だから国会審議では禁物。隊員達や国民の生命がかかった内容を論じるのだから、クソ真面目に審議しないといけない。答弁に失敗したら議員辞職するくらいの覚悟は当然。何人か議員が死ぬくらいの、激しい論争が必要と思う。

安易な議論は、やがての失敗につながるはず・・・その自覚が感じられない。中継を見ていないから審議の内容は知らないが、与野党とも基本的態度に問題があることは感じる。

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